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IR構想という他人事

 大阪府と市が申請していたIR(統合型リゾート)整備計画を政府が認定した。報道各社は「カジノを含む統合型リゾート」と表現しているが、通常の感覚では「カジノが中心」であり、その他の私設は「言い訳」「おまけ」に見える。

 足元の大阪でも構想は市民の賛同を得られていないようだ。もちろん最大の懸念はギャンブル依存問題だ。

 損をすることがタマらないというケチ性分から一切のギャンブルに興味がない私。ギャンブル依存の恐ろしさはたっぷり見聞してきた。

 依存症対策のひとつとして「IR実施法」は6000円の入場料を徴収すると定めている。


 「これって、なにかに似ているなあ」と考える。

 タバコをめぐっては、純粋に国民の健康増進の観点から極端な税を課して「吸わせない」という施策も考えられるだろうが、でも税収は確保したい。

 あるいは、緊急事態宣言を出すレベルの感染拡大にありながら観光業振興のためのGO TO トラベルは実施する。

 カジノの入場料もこうした“矛盾”をはらんだ解決策になっているのだな。

 そもそもどれだけの資金を注ぎ込む覚悟でギャンブルに臨むのか、人それぞれだろう。「冥土の土産噺にやってみるか」とカジノに迷い込むことがあったとしても、ちまちま・おそるおそる手を出す(かもしれない)私。そんなことでは、そもそもこの入場料を回収することからして難しいだろう。はなからこんなマイナスを背負ってスタートするなんて、ますますアホらしい。

 ま、「それでもギャンブルを愉しみたい」という人は自己責任でやればよろしい。

 開業は2029年を見込むのか。年金受給年齢になっているではないか。やっぱり絶対にご縁がない場所になるな。

 それよりも。

 中国は団体での海外カジノを禁止したという。巨大顧客層の背景にこんな政治リスクがあるようでは、そもそも開業すら難しいのではないか。

 のんびり本を読むおじいさんになる予定の私。IRをめぐる騒ぎは横目で楽しませていただこうではないか。
(23/4/15)

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