「喜びは創造にしかない」
世田谷文学館で開催されている「ヨシタケシンスケかもしれない展」に行った。
当代随一の売れっ子絵本作家であり、イラストレーター。子どもやおじさんがどれも可愛らしいし、なによりもその発想がとんでもなく突飛でいかがわしいので(ホメてます)、既刊はほとんど読んでいる。
アンテナに引っかかってこなかった本展だが、SNS「読書メーター」でフォローしている“読友”さんが公式図録をアップしていたので覚知することができた。ご縁に感謝である。
イラストアイデアのメモが会場の壁一面に数千枚も?並ぶのが圧巻。エッセイなどを読んでいたのでメモはミニ6穴バインダーにちまちまと描いているとは知っていたが、原画は予想以上に小さな小さなもので、大いに驚く。なんでも「会社に馴染めず、業務中に上司に隠れてこそこそ描いていたから、小さな絵しか描けなくなった」という。
こうしたメモを見ていると、「ああ、ヨシタケシンスケさんに限らず、人間のアイデアは手を動かすことから生まれてくるんだなあ」ということが実感されてくる。
大学のサークルの先輩に、やはりちまちまとしたイラストを書くことが好きだった方がいて、その口癖は「喜びは創作にしかない」。大手広告会社D社に入社されたが、その後の消息は聞いていない。楽しい展示の数々を見ていて先輩のそのことばを思い出していた。
さて、ヨシタケシンスケ展。
イラスト以外にも「いかにもヨシタケさんらしいなー」とクスッとさせられる工夫が随所にあって、大変に楽しい展示だったのである。絵本・エッセイ以外にも広がるヨシタケワールドを体感できて、本当によかった。
グッズショップではもちろんお目当ての図録を買った。こちらではご丁寧にヨシタケシンスケさんが自作したという愛用品を再現した革製ミニバインダーも販売、ちょっと“創作意欲”をかきたてられた。それでも、なにしろイラストがからっきしダメな私。大枚1万円を消費する勇気まではなかったので、イラスト入りのバインダーだけを購入した。
私の「創造の喜び」はこのnote、毎日更新はまもなく1年になる。いまはアイデアのタネをスマホにメモしているが、ヨシタケさんをみならって“手を動かす”ことを取り入れることができないものか。購入したイラスト入りバインダーを前にして、そんなことを考えている。
(22/5/7)