「きっと大丈夫だろう」の心理
もうじいさんで夜が早いので、昨夜の地震の際はもちろん就寝中だった。最初にグラっと揺れたあと、徐々に横揺れを強くしながらしばらく続いた。寝ているところの地震は大きく感じてしまうものだから震度3程度かなと思ったが、東京23区は震度4。
ほとんどの人がカメラ付スマホを持っている現代なので、テレビではいろいろな揺れの映像が流れていた。私は、メディアに勤務していながら地震の際に咄嗟に動画を収録できたことがない。皆さん冷静にカメラを回すものだなあ、と感心することしきりである。
地震発生の際に私はなにをやっているか。
とにかく固まってしまるのだ。そして心の中で「収まるだろうな。すぐに収まるよね。きっと収まるよね」と考えている。
こういう心理のことを「正常化バイアス」と呼ぶらしい。「多少の異常事態が起こっても、それを正常の範囲内としてとらえ、心を平静に保とうとする働きのこと」とされている。
私の場合はまさにこれ。「きっと大丈夫、正常に戻る」と思っているうち逃げ遅れてしまうパターンだ。気をつけなければならない。
私は2011年3月の東日本大震災の際は出張で広島に滞在中だったために、あの揺れは経験していない。しかし、1カ月後の深夜に発生した“余震”は仙台市内のビジネスホテルに滞在していた。私のいた場所の震度はおそらく震度5強、人生最大の揺れを体験したことになる。
この際はまずベッドの布団をアタマからかぶって丸まったのだが、あとから災害の専門家さんに「それはとっても有効ですね」とホメられたものだ。当時はそれだけ地震に対する防災意識が高かったのかもしれない。
テレビで流れていた昨夜の視聴者撮影の動画は、大きく揺れるなかで「なんで?なんで?」とばかり繰り返す女性の声が収録されていた。あの巨大地震から11年。「動画を撮るよりも身の安全を守るべきではないのかなあ」とも思うが、固まっていただけの自分が偉そうなことも言えないところである。
(22/3/17)
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