興を削ぐ大根役者
公開間近のある邦画の試写に行ってきた。
ほとんど漫画チックなノリだが、アクション満載、脚本も練られていてラストにはカタルシスもある。娯楽作品として十分に楽しむことができたのである。
ああ、しかし。
準主役の女優がかなりの大根っぷりを発揮していて、全体の価値を毀損しちゃっているのである。非常に可憐で可愛い。いまが旬の女優さんであることは理解するが、とにかく彼女がひとことしゃべるだけでドカンとテンションが下がってシラケてしまうのだ。
「旬だから起用されているけどとってもへたくそな女優さんにがっかりする」というのはいまに始まったことではない。個人的にはこの3年ほどでもほかにあと2人は思い当たる。その2人はあっという間に姿をお見掛けしなくなってしまったので、私の見立てもあながち大外れではないのだろう。きのうの試写の方も2年後にはもうどこに行ったのかわからなくなっていることだろう。
されば、時分の花をまことの花と知る心が、
真実の花になほ遠ざかる心なり。
ただ、人ごとに、この時分の花に迷ひて、
やがて、花の失するをも知らず。
世阿弥「風姿花伝」の言葉を思い出す。
対照的に思い出すのはNHK連ドラ「ブギウギ」の趣里と「虎に翼」の伊藤沙莉さんである。
ふたりとも「絶世の美女」ということではなく、あえて言えば「個性派」。それでも演技力と愛嬌があって存在感が抜群なのだ。伊藤さんにいたってはあのハスキーボイスまでが、欠点ではなく魅力になっている。
役者だけではない。歌手だって同じだし、小説家にも当てはまる。面白いもんだなあ。
(24/7/26)
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