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大河ドラマ「べらぼう」で心配すること

 (プチネタバレあり)「べらぼう」は昨夜が2回目の放送だった。なにしろ関連本をどんどん読んで予習するほどの私。楽しみに見たわけだが、いろいろ今後に心配なことが惹起してきている。

 まず、やはり早くも時代背景のどうしようもない地味さが露呈してきている。

 大きな戦も事件も起こらない江戸中期、しかも主人公はそれほど有名でもない一介の商人だ。主人公の生涯には、板元として時代を風靡する活躍、寛政の改革による弾圧、それを乗り越えて絵師・写楽をプロデュースするといった“事件”が待ち構えている。しかし、これは関連本で予習してやっと仕入れた知識であり、それがない視聴者には早くも「こりゃ1年間これでいけるのかな」との疑念が芽生えているのではないか。

 きのうの第2回では当時の幕府経済の問題点が提示されたり、将軍をめぐる政権中枢の暗躍の発端を垣間見せたりしていたが、これが蔦屋重三郎という主人公と乖離せずにどう展開できるのか。

 もうひとつは主人公が活躍した舞台となる吉原の問題だ。

 たしかに実物大とされるセットは見ごたえがあるし、テクニックを駆使したであろう照明による映像も美しい。しかしそこは遊郭である。脚本の森下佳子さんは番組公式HPで「(吉原の)光と影の両方を大事に描いていきたいですね。」としているし、もちろんそうするしかないだろう。

 しかし打ち棄てられた女郎の遺体の全裸姿(背中のみ)を映しただけで「ゴールデンのNHKであれはどうなのか」とSNSが盛り上がるご時世だ。「売春宿を映すなんて」と正義感をふりかざす“炎上”も必ず出てくるだろう。昨夜の回では男色家の平賀源内が冗談めいた調子で主人公ににじり寄る姿もあり、ジャニーズ事務所事件の記憶が新しい当方としては嫌悪感を覚えるものだった。ま、NHK制作陣はそんなことは百も承知でやっているのだろうが。

 期待できるところも多い。横浜流星は相変わらずきっぷのいい江戸っ子をいきいきと演じているし、小芝風花の凛としたたたずまいも美しい。なによりも第2回は安田顕の平賀源内の演技が秀逸でドラマに厚みを与えていた。

 ま、番組関係者でもない私が「心配」するのも余計なお世話でしかない。こちらとしては「耐えられなくなったら視聴をやめればいいだけ」なのだから。次回を楽しみに待つ。
(25/1/13)

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