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仕事の誇りとブラック企業

 出るわ、出るわ。「ビッグモーター」の不正沼である。

 それほど熱心に報道の流れを追っているものでもないが、今度は店舗前の街路樹に除草剤を撒いていたり、勝手に伐採していたりという疑惑も出てきた。幹部による「査察」で落ち葉があると減点されるために処理してしまったのではないか、という。「邪魔なものは排除してしまえ」という姿勢は、ジャングルに潜むベトコンゲリラに手を焼いて枯葉剤を散布しまくったベトナム戦争当時のアメリカ軍を思い出した。

 保険金請求では、靴下に入れたゴルフボールを客の車にぶつけて傷をつけるなどの行為が明らかになった。私はダイレクトに顧客に接する仕事をしたことはないが、「働く者の誇り」を持っていればそてもそんな行為はできないだろう。それを実行した感覚がわからない。

 「誇り」などというものは、ノルマとプレッシャーによって簡単に麻痺してしまうのか。恐るべし、ブラック企業。

 このニュースで突きつけられる怒り・情けなさ・絶望。そこには「もしも自分の息子がそんなところで“使い捨て”にされるような事態になったら」という恐怖も存在している。
(23/7/)

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