「走れ、家族の季節」
およそ20年前に海外赴任から帰国した時、長男は小学校1年生、次男は生まれてまだ半年だった。カミさんがペーパードライバーであること、住居の徒歩圏内に鉄道駅が2つもあって合計4路線が使えること、どう考えてもガソリン代や駐車場代など維持費が無駄なことから、自家用車を購入することはなかった。
結婚当初はもう乗らなくなった祖父の車を使わせてもらい、長男誕生のタイミングでトヨタのイプサムを購入、海外赴任まで乗っていた。自動車の系譜はほとんど知らないが、ファミリータイプSUVの嚆矢だったのだろう、運転しやすくていい車だった。発売当時のキャッチコピーは「走れ、家族の季節」。自分にとってこれが最初で最後の自家用車の購入だったことになる。
長男が就職して次男の大学生活も残り2年となったいま、「ああ、“家族の季節”もいよいよ終わりだなあ」としみじみ思う。
なかなかのリスト魔なのでevernoteが手放せない。「旅行携行品リスト」には「息子の勉強道具」「トランプ」が記載されたままだが、これはもう削除していいな。
学費の負担もあとわずかになった。息子がいなければ夕飯のおかずなどは一汁一菜で十分だし、飛行機の狭い座席に長時間縛られてまで時差のある海外へ行きたいとも思わない。老後のケチケチ生活だと思えば気が滅入るが、“自然に枯れてきた”ことを受け入れられていると思う。
といってもまだ還暦前。
人生を楽しむことを見つけられたら、その時は積極的にトライするアクティブさも失いたくないところである。
(22/3/10)