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「上司は思いつきでものを言う」
DeNAを応援しているので、興味・愛情がない対戦チームの姿も自然に目にすることになる。
今シーズン「あれっ?」と思ったのは、巨人のユニホームだ。見慣れた背番号の上の選手名(以下「背ネーム」)が消えて、番号だけになっているのだ。
チームの公式ホームページはこのように説明している。以下、コピペ。
「大きな変更のひとつが、ユニホーム背面から名前をなくし、背番号のみとした点です。MLBニューヨーク・ヤンキースと同じ、背番号のみのシンプルなデザインに。これは、巨人軍が持つ「FOR THE TEAM」の精神にも通じています。
2018年、原監督は監督復帰会見で「勝つことが最大の目標であり、巨人軍は個人軍であってはならない」と語りました。その言葉の真意は、常に最大の目標である勝利に向かって、選手・チーム・フロントが一丸となることです。背負うものは個人の功名心でなく、ファンへの想い。決して壊れることのない、その決意の表れです。」
今シーズンからユニホームのサプライヤーがナイキに変更になったためのデザイン変更のひとつなのだという。
原監督の発言は5年も前のものだから、中ではきっとこんなやりとりになっていたのではないかと妄想。「おい、背ネームやめるってよ」「おっと、なんか意味づけをしないといけないなあ」「なにか理論武装、考えろよ」「あ、原さんがこんなこと言っていたみたいっすよ。5年前ですね」「お、それ、いただき!」ってことなのだろうな。
ネットによると日本のプロ野球で最初に背ネームを採用したのは1964年の大洋ホエールズだったという。そういえばV9時代の王・長嶋には背番号がなかったな。
慣れ親しんだ背ネームがないと、なんだかユニホームの背中がスカスカに間延びして見えるもの。目にするたびに、コストダウンで苺を間引きされちゃったショートケーキを連想させられるのだ。こちらは見たことないけど。
なにより、背ネームなしでは観戦していても選手がわからない。
V9で日本中が巨人の勝ち負けに一喜一憂していた時代なら、1番王、3番長嶋、6番土井、7番柴田、8番高田、18番堀内・・・これは全国津々浦々の“常識”だった。しかし、いまは違うだろ。
こんなところにも「球界は巨人を中心に回っている」「巨人が勝つことがプロ野球の隆盛」という30年前の“天動説”から一歩も進化できていないあのチームの傲慢さが見えてしまうのだ。
グッズの売上はどうなったのだろう。近年のファンはユニホームを着用して応援するのが定番。テレビ中継でも実際の球場でも、みんな楽しそうに羽織っている。これを着るにも推し選手の名前が入ったものでないと一体感を感じられないのではないか。
「グッズの売り上げが落ちました」などとは金輪際発表できないだろう。また妄想する。「でも、背ネームがないとユニホームの売上げが落ちちゃいますよね」「お前バカか。いまさらそれを上に言ってひっくり返せるわけないだろ」
「上司は思いつきでものを言う」は故・橋本治氏の新書のタイトルだ。あいにく私は未読だが、上記妄想のようなサラリーマンの悲哀をすくいあげてくれているなら、読みたいな。
それにしても。
やっぱり私は巨人と読売が大嫌いなんだなあ。いまさらながらに確信する。
(23/5/7)