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僕の好きな詩について 第三回 山之口貘

僕の好きな詩のことを好きに語るノート第三回は、山之口貘さんです。

僕は生まれだけ沖縄なのですが、そのせいで沖縄を代表する詩人の一人である貘さんに強い親近感を抱いています。

それでは今回の詩を。

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「喪のある景色」 山之口貘


うしろを振りむくと

親である

親のうしろがその親である

その親のそのまたうしろがまたその親の親であるというように

親の親の親ばっかりが

昔の親へとつづいている

まえを見ると

まえは子である

子のまえはその子である

その子のそのまたまえはそのまた子の子であるというように

子の子の子の子の子ばっかりが

空の彼方へ消えいるように

未来の涯(はて)へとつづいている

こんな景色のなかに

神のバトンが落ちている

血に染まった地球が落ちている

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貘さんは飄々とした詩が持ち味で、暢気な感じのするものが多いのですが、これはちょっと迫力があります。原爆の詩なんかを書いてもわざと必要以上に熱量を感じさせないのですが、先祖崇拝の沖縄で「喪」の持つ意味は今の私たちとは少し違うのかも知れません。

タイトルに「景色」とあるように、この詩は非常に絵画的で、ダリやピカソのような抽象性と、「血に染まった」の一言で表される争いや災いの具体性をバトンというアイテムで結合させる力技を発揮しています。一語も形容詞を使わない対象との冷静な俯瞰的距離感が、却って真剣味を纏わせています。

これ以外の詩も素晴らしいものがたくさんある貘さん。
彼の詩のいくつかは高田渡氏に曲をつけられフォークソングになっています。ハンバートハンバートなんかがさらにそれをカバーしてたりもします。

是非聞いてみてください。

#詩 #現代詩 #感想 #山之口貘 #喪のある景色

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ハル(黒崎晴臣)
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