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僕の好きな詩について 第二十回 宮尾節子さん

おはようございます。僕の好きな詩について書くノート、第二十回は宮尾節子さんです。

これから紹介する詩を昨日、上野(ウエノポエトリカンジャム6)で生でご本人の朗読を聞いてきました。その熱い厚い朗読で涙が滲んできました。

まずは詩をどうぞ。

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「女に聞け」宮尾節子

わたしが
恥ずかしい、格好をしなければ
こんなにも
恥ずかしい格好をして、一人で踏ん張らなければ
あなはた、この世に生まれて、これなかった。
わたしが
死ぬほど恥ずかしい姿を、人目にさらして
恥ずかしい声を、なんどもなんども肚から
絞り出して、(瞼の裏を菫色にして)命がけでいきまなければ
あなたは、ここにうまれて、来ていない
恥ずかしい、それでも、どこにも逃げられない、逃げない
(暁を告ぐ 鶏鳴を助けに)
絶対に、あなたを生むという、ただ
ひとつ事のほか何も考えない。考えられない。
あのときの、酷くみじめで
敗れたわたしの姿から、生まれたあなたの世界が
(しかし、あなたが生まれた瞬間に、
恥ずかしいが、誇らしいに変わった!)
愛であることを、
(生まれたものが、命だったからだ。)
平和であることを、
(広かったものが、喜びだったからだ。)
わたしは、信じて疑わない。

どんな姿から、いったい何が生まれるか。生まれないか。
男よ、だから
あなたが忘れている。産声を、わたしは知っている。

けんぽうきゅうじょうに、ゆびいっぽん、おとこが、ふれるな。やかましい。

平和のことは、女に聞け

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非常に政治的な詩ですね。宮尾節子さんはこれ以外にも「明日戦争がはじまる」がかなり人口に膾炙しています。

宮尾さんは、政治は色気がなくて嫌いだけど、書きたいものを書きたいときに書くために現行憲法は護らなければならない、というスタンスの方です。

その思想もさることながら、立ち姿が只もう格好いい!
ジャニス ジョプリンみたいなんです。舞台に立って声を発するだけで痺れます。

ウエノポエトリカンジャム6は本日9/16(日)も上野水上音楽堂(上野恩賜公園内)で行われています。

(昨日は谷川俊太郎さんの朗読も聴くことができました)

ちなみに当日参加枠のオープンマイクコーナーがあり、僕もひとつ詩を朗読しました。はじめてで無練習で臨んだので出来ばえはアレでしたが、良い経験になりました。

お時間があり詩に興味のある方は無料のイベントなので、是非足を運んでみてください。絶対刺激を受けます。

ウエノポエトリカンジャム6公式サイト

https://www.upj5.net/

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いつか詩集を出したいと思っています。その資金に充てさせていただきますので、よろしければサポートをお願いいたします。