カット・エンド・ポエム 03
凍えられない夜の色
あの梟は染まる青
重力ばかりを望んでいたはず
自分の羽すら毟れずに
骨の向こうも脆くない
底まで深まらない闇ならば
そこまで光れない星にでも
歌を、このくだらない約束へ
帰り道に隕石ひとつ墜ちないよう
笑うためにはまばゆい朝陽
たやすい希望
たとえばきみがつくる星座盤
飛べなくてよかった
吐いた息すらいのちの理由
はじまりよりも騒いでほしい
よければ終わりに爪立てて
忘れていたのは明日への返事
青い鳥、ぼくの星を繋いで
ナイト
✵
其れは真に名の如く
龍の食卓
火の杯
汚れを厭わぬ雨あらし
鯉か龍か、或いは鮭か
灯らずの硝子
瞑った片目で見える熱
腹を満たす炎ばかり
生くるための足枷
その軽口は酒に等しく
その唇は易々と明日を歌え
ただその目だけは今日の晩餐を
焼き切れるほど細い糸
何処まで往こうが明るい街
そういえば翼はないらしい
鉤爪がはじめに掴んだもの
この心臓
今しばらくはおまえの火の粉
✵
荒野と呼ばない地平線
白の言の葉
夜明けの在る場所
誰がための剣
跪く太陽
旗、しるべ
サライの休符
吐く息より波音
羽根越し
かの灯台は哭いているか
燻るうなぞこ
果てが眩しくなりすぎる前
光る底なし
浅瀬のけもの
暮れの魚影ら
時化、或いは落日
枯れる日に落ちる陽は
振りかざしたのは明日
踏みしめたのは今日
掲げよ心
青くたなびく騎士たちへ
✵
勝てば官軍
誰そ彼の地図
もくろみの引っ掻き傷
食める雑草
波打つ背
狙いどころに吊るす花
たとえたとえば漂えば
手のひらの子守唄
彼らはすり抜ける鍵穴
鈴なしの気配
銅貨と一杯
銀貨と食糧
金貨と心臓
毛繕いの史
獣と呼ぶか、獣と呼べるか
その静けさで土を踏め
昏やみにて光る
忍び研ぐ爪先
自由をのぞむ動物どもよ
✵
陽、いつからそこに
正しい瞳
はじめに目にした真裏から
孤独のわけは地上になく
引き換えの未来
きみを切り抜けた心臓は
旅と呼ぶには短い距離
ならば勇気の散歩道
老いぼれた花束
たとえば逸らせぬ極彩色
洩れた声から体温になる
まじないを解く
歌い出せば溶けない魔法
途方に暮れるほど光
夜が美しく明けるため
これから磨り減る靴底にて
きっと此処はまばゆい荒野
命をはじめた素足なら
20180524 フロム・ツイッター
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