毎日1作品1ヵ月、Everyday 3D制作まとめ
10月。アーティストにとっては毎年、1日ペン画作品をひとつ作って31日間毎日アップするインクトーバーで盛り上がる時期です(今年は反対運動が起こったので違うハッシュタグで参加する人も増えました)。ずっとやりたいと思ってましたが、1日1作品(アップできるクオリティ)というあまりのハードルの高さに達成できる気がせず、5年ぐらい指をくわえてみていましたがついに今年、しかも3Dで、達成できました...!やったー!
期間中はInstagramに毎日投稿していました。noteにも工程や学びなどをまとめておこうと思います。参考にさせて頂いたお題リストは私の専門分野であるサイエンスがテーマの#sciartinkです。
きっかけ
3D制作の仕事をさせて頂く上で、技量不足はずっと感じており、2019年からあの手この手で自主制作を試みています。
具体的に感じている課題は以下の通りです。
・全体的にプロから見ても「おおっ!」といえるクオリティが出せない
・アイディアを完成まで持っていくまでに時間がかかりすぎる
・マンネリ化
・完成までの時間が正確に把握できない
・ファイル軽量化、レンダリング高速化の工夫の引き出しが少ない
3D界隈では毎日作品を作ってアップするEverydayと呼ばれるムーブメントがあります。Everydayで有名な3DアーティストBeeple氏は最初は社会人しながらEverydayを12年続けていて、ゼロから第一線を走るまでになりました。彼は3D制作において「右も左もわからない素人がとにかく大量に作って底上げすれば上達する」の生き証人です。
問題は3D制作はチャチャッと済ませられないこと。プロになっても8時間-10時間かけて完成しない、なんてこともざらにあります。私自身も以前チャレンジして「毎日完成させる」は2日しか続きませんでした。これには「終わりが見えない」ということが大きく絡んでいます。生活もある中で、ずっと3Dだけに時間を割き続けるのは現実的ではありませんでした。
毎日12年は無理かもしれないけど、1ヵ月だったらできるかもしれない。ちょうどフリーランスの仕事に少し余裕ができたのもあり、1ヵ月だけと決めて、24時間制限と生活がある中で毎日見せられるクオリティのものを作るという目標を立てました。
#Sciartnow 2020
Day 1 Brain (脳)
Day 2 Neuron (ニューロン)
Day 3 Synapse (シナプス)
Day 4 Eye (目)
Day 5 Retina (網膜)
Day 6 Photoreceptor (視細胞)
Day 7 Heart (心臓)
Day 8 Heart myocardium (心筋)
Day 9 Cardiac Myocytes (心筋細胞)
Day 10 Lung (肺)
Day 11 Bronchiole (気管)
Day 12 Alveoli (肺胞)
Day 13 Liver (肝臓)
Day 14 Hepatocytes (肝細胞)
Day 15 Kidney (腎臓)
Day 16 Nephron (ネフロン)
Day 17 Glomerulus (糸球体)
Day 18 Pancreas (膵臓)
Day 19 Islet of Langerhans (ランゲルハンス島)
Day 20 Intestine (腸)
Day 21 Intestinal villi (絨毛)
Day 22 Arterial vessel (動脈)
Day 23 Arterial wall (動脈壁)
Day 24 Venous vessel (静脈)
Day 25 Venous wall (静脈壁)\
Day 26 Lymph node (リンパ節)
Day 27 Lymph vessel (リンパ管)
Day 28 Testes (精巣)
Day 29 Sperm (精子)
Day 30 Uterus (卵巣)
Day 31 Ovum (卵子)
学び
仕事を離れて自由に想像し、作れる
めちゃくちゃしんどかったし、お酒お菓子に頼りまくりでしたが、同時にものすっごく楽しかったです!普段は正確さを問われる仕事が多いのですが今回は仕事じゃないということもあって、かなりふざけることもできました。自由に作るって楽しいな...
スキル的な意味では、一番身に着いたのは
超短期間でアイディアを形にするスキル
だと思います。1日1個作るとなるとアイディアが沸くのに待っている場合ではなくなります。ずっと頭の片隅でアイディアを練り続ける力、形になるアイディアの基準はまだうまく言えませんが体感をつかめたのはよかったと思います。また
何が何でも終わらせるための現実的なゴール設定
ができるようになったのも良かったと思います。当たり前ですが他の仕事もしているので自主制作ばかりやっているわけにはいきません。仕事に比べるとむしろ優先順位の低い自主制作をどうにかして一日にねじ込むためには時短は必須です。具体的には
ショートカットとクオリティコントロール
時短術(主にストック素材や過去ファイル、チュートリアルの活用)
特にストックモデルはガンガン買おう!というマインドセットに早変わりしました。実際31日毎日作って、1万5千円ぐらいしかかからかったので、意外に安いのでは?と思いました。
今年はあんまり自主制作ができずにちょっと寂しい気持ちになっていました。短期集中とはいえ、今年も作品作ったぞ!!と言えるぐらいには練習できてよかったと思います。
最後に尊敬するBeeple氏からの一言
DO NOT EVER stop making art because someone else doesn't like it. FUCK THEM. do your work. (誰かが君の作品が好きじゃないからって絶対に作るのをやめるな。そんなヤツはクソくらえだ。自分の仕事をしろ)