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【けいばエッセイ⑩】錦秋のさなかに直感を思う

直感って何なんだろうね。

何をまた言い出したのか?って。仕事をしていたらふとこんなことを思ったので忘れずに書いておきたいんだ。

というのも、このnoteでよく引く菊池寛の「情報信ずべし 信ずべからず」って格言。それと同じかそれ以上に馬券師にとって「直感信ずべし 信ずべからず」って大事だよねって思うから。

ほら、よくあるじゃん。馬券を買うつもりはなかったレースで、何気なく見たパドックに「ビビっ」と迫ってくる馬。で、馬券を買おうと検討するとどうにも理屈がつかないので「ケン」したらその馬が1着になる。あるいは「どうで来ないさ」と忘れていたらその馬が激走したり。しかも結構なオッズになっていたり。

そんな「買えばよかった」という記憶が新しいときに、同じ状況で「ビビっ」ときて買う予定でなかったレースを買ったら、今度は全然どこにも来なかったり。

こんなことの繰り返しに懲りないのがアタオカな愛すべき馬券師なんだと思う。

その「『びびっ』との付き合い方をだれか教えてくれんかな・・・」と独り言ちたら、かあちゃんが親切にアドバイスをくれたよ。「パドック見るの止めたら?」って。ふーん。

そんな環境で過ごしているから、よく一人で脳内会議をするんだよ。直感って何なんだろうって。そんな時に、仕事関連で手に取った本にこんな件(くだり)があったんだよ。

直感とは単なるひらめきではなく、むしろ我々の意識の奥にひそむ場面を借りて顕在化してくるある根源的な情報代謝力ともいうべきものなのである。

松岡正剛『空海の夢』2005 春秋社 P.325

何言ってるんだ?って思ったあなた。私はそんな正直なあなたが好きだよ。私も何言ってるかわかんないもん。何言ってるかわかんないけど、何か大切なヒントがあるような「直感」がするのでこうしてわざわざ書いて考えている。

パドックを見る→私の意識の奥にひそむ場面のなにかがそれに触発されて顕在化してくる・・・というところまではわかる。その顕在化までの過程をその人が持つ本来的な情報代謝力≒直感というのもわかる。なんだ、わかってるじゃん。

でもさ、わかりたいのはそれを直感というならば、勝ちにつながる直感なのか、それとも負けにつながる直感なのかってことなんだよ。誰か教えてくれよ。

都合がよすぎるって?都合よく生きなきゃ、競馬なんてやってられないぞ。

たとえば記憶に新しいところでは先日のチャンピオンズカップ。出走各馬のロジカルな検討を経たうえでの最後の決断に際し、私の直感は「(武さんの)流れ」に乗れとささやいた。

こんな記事までが背中を押してくれたよ。

結果は着外。

たとえばその前の日のチャレンジカップ。同じように最後の決断において私の直感は「今年ならではの戦歴の馬を」とささやいたんだ。それを信じて推した浜中Jのディープモンスターは2着。まぁ成功だ。

「ささやき」でも、「ひらめき」でも、「直感」でも、呼び方ははなんだっていいけど、それが勝ちにつながるものなのか、負けにつながるものなのか。

そんなことをわかりたいんだよね・・・ってかあちゃんに言ったら「それに答えが出ないのがあなたがいつも言ってる『競馬の本質≒複雑性』なんでしょ?」「そんな答えが出ない問いに耐える『ネガティブケイパビリティ』が競馬に必要な知性のひとつなんでしょ?」って言われたよ。

そりゃ惚れ直したさ。

菊池寛のようにその馬券哲学が格言として広まるほどの人物では全然ない私は、エンディングノートにでも書いておくよ。「直感信ずべし 信ずべからず」ってね。アタオカな血を引く誰かが考えてくれるだろうよ。

※表紙画像は©︎エレナ|毎日noteさんのものを使わせてもらいました。ありがとうございます。

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