ベリベリベリベリベリンガム

2018年の年末にモドリッチがバロンドールを受賞した時、彼は近未来型MFの雛型とも言える存在への道を歩く途中だった。
もちろん、ルカのその歩みは止まっていない。

とはいえ、イングランドとアイルランドが産んだこのサッカー選手はMFとFWというポジションの概念を根底から再構築しかねない存在へと進化し続けている気がする。

ドルトムント時代は、正直なところ脚が長くて走力もあり、かつスライディングのタイミングが適格でボール奪取能力に優れ、ボールタッチの柔らかさとパスセンス、そしてそのエレガントな身のこなしはジダンを彷彿とさせる選手だがイングランド人であるが故に言語がネック。
個人的にはそんな評価のMFであった。


ところがぎっちょん。
マドリーに移籍後の彼はなんという化物だろうか!
『リバプールではなくマドリーを選んだのはお金じゃない』といった旨の発言をしてくれたのはマドリディスタを喜ばすためのリップサービスだったのかもしれない。

だがしかし、彼は発言ではなくプレーそのものでマドリディスタの心をがっちりと掴み獲っている。

裏への動き出しやバイタルエリアでのポジショニングはラウールを彷彿とさせる時があるが、キック精度やスピードはスペインの至宝と呼ばれた男よりも格段に上かもしれない。

かつてベンゼマという選手がマドリーに在籍していた。
彼はキャプテンシーの部分は少しもの足りず、またプレーも少々不安定な時期を何度か経験している。
とはいえ爆発すればバロンドール級の万能型ストライカーへ変貌する。
そんな選手だった。

ベリンガムは、今夏サウジ移籍を決めたフランス人と同等のボールタッチセンスがあり、かつまだ20歳でありながらすでに30代半ばの元9番に並ぶことが出来るスキルを有している。

そして、このイングランド代表はボックス内に容易に侵入することが出来る。
近年のマドリーには居そうで居なかった選手である。

パッと記憶に呼び起こすとファン・デル・ファールト在籍時にまで遡ることになる。
さすがに15年そんな選手が不在なわけがないともう少し深層まで掘り進むとなるほど、エジルとプレースタイルの系統が似ているなと気がついた。

懸念事項だった英語圏出身という要素も英語が話せる選手が多くほぼ杞憂に終わった。 

ほぼ毎試合MVPのトロフィーを獲得しているベリンガム。

もしかするとマドリディスタは、異次元の怪物の成長過程を観ているのかもしれない。

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