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【論文読んでみた】管理職への昇進希望に関する男女間差異:安田(2012)

こんばんは。大学院の夏休み終了のお知らせに震えるはるみんです。
早くない?もっと本読むつもりやったで・・・

さて、本日の論文はこちらです。

安田宏樹. "管理職への昇進希望に関する男女間差異." 社会科学研究 64.1 (2012): 134-154.


ひとことでいうとこんな感じ

20 代の正社員を対象に、管理職への昇進希望に影響を与える要因の男女間差異 について実証分析を行った研究。

目的

まだ管理職に就いていない 20 代の若年正社員の管理職希望について分析を行うことで、将来の女性管理職増加に寄与する有効な施策への視座を得ること

研究の進め方

連合総合生活開発研究所が 2008年 8 月に実施した『ワーク・ライフ・バランスに関するアンケート, 2008』(WLB 調査)の個票データを用い、どこまで昇進したいかを非説明変数、女性ダミー、仕事や職場の特徴、上司のタイプ、自分のタイプ、仕事と生活の調和について感じた困難などを説明変数とする。

なお、WLB 調査では仕事や職場特性、上司の特性に関する設問の多くは回答者の主観的な判断に基づく指標となっており、主観的なバイアスが生じている可能性に留意しながら分析することが必要となる。

研究の結果

  • 男性よりも女性の昇進希望はかなり弱い

  • 「課長クラス以上への昇進希望」は個人属性や企業属性などさまざまな要因をコントロールしてもなお女性よりも男性の方が約 34 ポイント強い

  • 昇進希望を規定する要因は男女で大きく異なり、女性の場合、自身がスペシャリストタイプの社員であると認識している女性は管理職希望が弱く、 面倒見の良い上司の下で働く女性は管理職希望が強い。 男性の場合、チーム作業である仕事や職場で働く男性の管理職希望が弱く、反対に裁量性の高い仕事や職場で働く男性の管理職希望が強い傾向

  • 男女ともに観察された結果として、仕事と生活の調和が取れていないために昇進希望が弱くなるという関係は観察されず。むしろ、「家事関連の時間」は男女ともに昇進希望にプラスの影響を与えており、家事関連の時間の多い社員ほど管理職希望が強い。ただし、この結果には結婚・出産など
    で既に退職している女性が推計のサンプルから脱落している可能性が影響している可能性。

考察

少なくとも20代男女なら、家事をやっている人の方が昇進希望が強いというのは驚き。仕事や自分の私生活を自律的にコントロールできているということか。

知らないことば

なし

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