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【論文読んでみた】夫婦の育児行動の認識と育児ストレスとの関連:福井・須藤(2003)

こんばんは。はるみんです。

ペース上げて論文を読むぞ(※ビギナーゆえ面白がって眺めるレベル)と前回書いたものの、実はあんまり読んでいない。

言い訳すると、Excelを復習もとい学習してピボットテーブルがわからず、さらにデューイに関する課題図書を読むもわからず、デューイの新書読んで論文漁って、息抜きに「成瀬は天下を取りにいく」を読んだりしてあっという間に1週間すぎた。大津は我が青春の地なので懐かしい。

とはいえ、いくつか読んだので今後noteにまとめていきたい所存。


ひとことでいうとこんな感じ

子育て中の夫婦の育児ストレスには、

  • 夫婦間の意識行動の認識のずれ
    (頑張って育児しているつもりでも、配偶者はそう思っていない、など)

  • 配偶者に対する理想と実態のズレ
    (頑張って育児しているつもりでも、配偶者の理想からすれば不足、など)

  • 夫婦の就業形態やサポート体制

が影響を与えているんじゃないか、という研究。

研究の目的・仮説

  • 仮説1: 夫が認識している妻の育児行動量よりも、妻が認識している妻自身の育児行動量が大きい場合(「私はこんなに育児しているのに、パパは全然わかってない」状態)、妻の育児ストレスが高くなる。逆に、妻が認識している夫の育児行動量よりも、夫が認識している夫自身の育児
    行動量が大きい場合(「俺はこんなに育児しているのに、ママは全然わかってない」状態)、夫の育児ストレスが高くなる。

  • 仮説2:夫が理想とする妻の育児行動量よりも、夫が評価する妻の育児行動量が大きい場合、育児ストレスは夫婦共に低くなる。逆に、妻が理想とする夫の育児行動量よりも、妻が評価する夫の育児行動量が小さい場合、育児ストレスは夫婦共に高くなる。

  • 夫婦の就業形態や育児に関するサポート体制の数が育児ストレスに影響するか

研究の進め方

0〜6歳の子どもを持つ母親(181名)と父親(82名)へのインターネット上でのアンケート調査。うち夫婦で回答を結びつけることができたのは61組。

アンケートの構成は、

  • フェイスシート

  • 下坂(2019)の育児関与尺度(自身について)

  • 下坂(2019)の育児関与尺度(配偶者に対して)

  • 下坂(2019)の育児関与尺度(配偶者に対する理想について)

  • 育児ストレス尺度(手島・原口, 2003)

  • 自由記述欄

下坂(2019)が作成したのは父親の育児関与尺度であるが、母親にも用いることができると考え、本研究では妻側・夫側で内容は同じものを使用。

研究の結果

仮説1: 夫が認識している妻の育児行動量よりも、妻が認識している妻自身の育児行動量が大きい場合、妻の育児ストレスが高くなる。逆に、妻が認識している夫の育児行動量よりも、夫が認識している夫自身の育児行動量が大きい場合、夫の育児ストレスが高くなる。

→夫婦いずれのパターンにおいても支持されず。
(ただし、育児行動量の認識のずれが、夫婦間の育児行動に関する何の認識のずれを測定していたのかが不明瞭だった点があるため、育児ストレスとの関連が明確に出なかった可能性も。)

仮説2:夫が理想とする妻の育児行動量よりも、夫が評価する妻の育児行動量が大きい場合、育児ストレスは夫婦共に低くなる。逆に、妻が理想とする夫の育児行動量よりも、妻が評価する夫の育児行動量が小さい場合、育児ストレスは夫婦共に高くなる。

→夫が理想とする妻の育児行動量よりも、夫が評価する妻の育児行動量が小さい場合(「母親ならもっと育児するべきだろう」状態)、夫の育児ストレスは高くなるので、部分的に支持された。なお、この場合、妻の育児ストレスも他の夫婦より高くなっている。
逆に、妻が夫に期待する育児行動量と実際に夫が行っていると認識している育児行動量のズレについては、夫婦の育児ストレスに影響なし。

→夫は、妻が十分に育児行動に取り組んでいないと不満を感じ、妻は夫からより多くを求められていると感じて育児ストレスを高めるのでは。
夫側に「妻はもっと育児をするべき」という価値観があるのでは?

→妻がどのような育児行動をどのくらいしているかについて夫に認識してもらい、夫との認識のずれを解消するようなすり合わせが必要。

夫婦の就業形態や育児に関するサポート体制の数が育児ストレスに影響するか

→女性において、育児サポートの数が少ないと、多い群と比較して育児ストレスが高く、男性よりも育児ストレス得点が高かった。
一方、男性において、育児サポートが3つ〜の場合は、0の場合よりも育児ストレスが高かった。

妻が無職かつ育児サポートが有る夫婦は、共働きかつ育児サポートが保育園のみの夫婦と比べて、有意に育児ストレスが高い。

→育児サポート数が多い夫婦は負担を分散できている一方で、育児サポートが少ない夫婦は、どうしても手が足りない部分のみを頼り、基本的には自身で対処しているから育児ストレスが高くなるのでは?

育児サポートが少ないとその育児サポート先と関わる人物が女性になることが多く、妻の負担が大きく育児ストレスが高くなるのでは?

育児サポートが少なければ妻に任せがちだが、育児サポートが3つ〜になれば必然的に夫もサポート先と関わり合い、夫の負担も増え、夫のストレスも高くなるのでは?

知らないことば

フェイスシート:調査対象者の性別、年齢、職業などの属性を確認するもの

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