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灰音ハル
2021年11月2日 20:21
数年前に書いた一番長い小説です。BL風味。 一、銀色の月 僕が知る限り、この世に正しい人なんて一人もいないように思う。でも、善い人は存在した。それが、笹目篤という人だった。 僕が笹目と出会ったのは、大学の入学式の日だった。皆が揃って黒のコートを着る中、笹目だけは真っ赤なコートを羽織っていた。赤い真新しいコートは人目を引く。それに、大体の学生が親を伴って来ていた。その中でたった一人、背筋