僕たちは孤独なのか。そうではないのか。
朝も昼も夜も、この街は生命の躍動で溢れています。
路面の露店、狭い路地を歩く人々、大きな荷物を乗せた自転車を押す姿、黄色い屋根のタクシー。
それぞれが自分だけの物語を抱え、自分だけの目的地へと向かっています。
それぞれが、それぞれの何かへと向かっています。
6本の路地が交わる交差点の真ん中に立つと、
無数の人生が僕の360度の視界を埋め尽くします。
そして、僕は分からなくなります。
「彼らは何を思い、どこに向かっているのだろう。」
彼らは僕と全く違う生き物で、計り知れない何かを背負っている。
僕は孤独感に苛まれます。
人は、それぞれが異なる思いを胸に秘め、異なる場所へと歩みます。
けれど、この場所では違いました。
月曜日の朝、黄金に輝く屋根を持つ壮大なお寺。
ここは数えきれない人々でごった返しています。
そして、人は、思い思いに祈ります。
混沌としたこの街の中にあって、ここには静寂がありました。
人は神を想います。
自分自身の未来を想います。
そして、その大切な人を想います。
なんだ、同じじゃないか。
混沌の中にいて、分からなくなっていた人の心が、
手に取るように分かるじゃないか。
そうして気づくのです。
つまるところ僕たちは、同じ。
僕たちは、ひとつの壮大な心の中に在るのでした。