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【詩】桜


春が来る、またあのつかみどころのなく、ただただ哀しい季節が過ぎてゆく

満月が落ちてきそうな夜に
静脈は息を潜めて
教えてほしい
春の心を静める方法を

持たない者は失うものが少ないということはなく
ただその身をすり減らすことで
日々をやり過ごしてゆくだけなのに

あのみずうみの魅力はただひとつ、人間の足がつかない深さであることだけで
とどまる水は濁り
白くゆらめいていた

君が不必要に流す涙が
春の桜を咲かせますように

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