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kawalabo
【詩】自転
愛されている人は美しいという
汚い言葉
愛されてなくたって
美しければ美しいと
叫んだ
ワイングラスが割れた
破片が窓に散った
戻らないと知っても
真実であればそれでよかった
真実かどうかわからなかったけれど
そこに記されて残るなら
それでよかった
綺麗が清潔を意味したとき
あの1日は最悪だったわけで
陽は西からのぼり
月は東に沈んだ
殴られた後の鈍痛と擦りむいた踵
頬に乾いた跡を残す涙
見えないだけで確かにそこにあった血液の匂い
文字は縦に流れていた
それでも
1日の終わりは夕焼けで
朝は来なそうな気がしたけれど
綺麗だった
僕のために輝いていた
風は
僕を避けて吹いていた
もう言葉は信じられないということを心の奥底で嘘だと思っていることを信じている
単純な話で
終わりにしたくなかった
真実がそこになかったら
終わるはずなんてなかった
永遠が無かったという安堵
よかった、消えてなくなれる
それはまた
途方もないかなしみ