[my camera] Nikon New FM2
こんにちは、薄明です。手持ちのフィルムカメラの今まで使ってきた感想や、実際に撮った写真をまとめていこうとおもいマガジンを作りました。これはその2本目の記事です。1本目はOLYMPUS ACEでした。
今回はNikon New FM2です。
「フィルムカメラというのを一度触ってはみたいんですよ」といったことを、社会人になって最初の会社にいた頃、お客さんとの雑談で話したことがありました。単身県外へやってきて私が始めた、数少ない趣味である写真やカメラの話題に付き合ってくださるお客さんとの会話でした。話の流れでそのお客さんから、じゃあ私のカメラを少し貸してあげましょう、と言われたのでした。
聞いてみるとそのカメラはNikon New FM2だという(レンズは多分Ai-S 50mm F1.4?全く記録がない)。そのとき、私はカメラの知識は殆どなく、確かNikon D200を買ってそう経っていなかった頃です。PモードやSモードでシャッターを切ってはなんか撮れたとか撮れなかったとか言っていた頃ですので、そもそもカメラの露出もわかっていないし、デジタルもフィルムもほとんど機種の特性やらメーカーの違いもわかっていませんでした。
今思うとあのお客さんもよくぞ私なんかに高いカメラを預けたものだと思います。まだ扱いもおっかなびっくりな新人に。
デジタルでもカメラの設定やらよくわからず振り回されていたくらいなので、結局フィルムの魅力に十分に気づかないまま、「いい体験をしました」という想い程度(あのときは楽しかったし、嬉しかったです。しかし今、持っていない私がFM2を借りたとしたら、反応はもっと激しいものだったろうと思います)で返却してしまいました。フィルムも多分3本程度ですぐに返したと思う。丁寧に扱っていらっしゃったし、とても綺麗なものだったので、傷つけたり壊したりしたら怖い、という気持ちがかなり大きかったのは覚えています。しかしその造形の美しさやシャッターフィールの軽妙な心地よさはどうしても心に残りました。ずっと残っていた。
それからNikon D200と長い付き合いがあり(今もありますが)、段々身の回りに新鮮さを見失い、写真を撮ることも減ってしまった時期がありました。今のようにTwitterで直接反応もらうこともなく、flickrやブログにあげる程度でした。しまいには、起動するのも実家に帰って犬を撮るか、仕事で物をHPに載せるときくらいになっていました。
2018年の夏ごろ、とあるお客さんのものを撮影する機会があってD200を使ったことがありました。その当時購入してからもう12年は経つというのに、故障もせずに元気に動いている。しかし使っていると、一度は予算もなくあきらめたフルサイズデジタル一眼レフへの憧れがむくむくと膨らんできてしまったのでした。そこからは悩んだりもしつつ、月賦でDfを購入。フルサイズだ、という思いから完全に写欲が再燃しました。(今ではだいぶセンサーサイズの違いでテンションが上がるよりハードルが下がって、違うカメラだ!というだけで写欲があがる始末です)
その後Dfで再燃した熱は、Df関係のブログ巡りからフィルム写真を目にするようになり、今度はフィルムカメラにも欲の対象が広がっていったのは言うまでもありません。今では生活費以外のお金がほとんど写真関係に…、さすがにセーブする頃合いですが。その後PENTAXやOLYMPUSなどそれぞれのメーカーのいろんなカメラの感触を手にして喜び、楽しんでいました。しかしNikonのフィルムカメラはやはり、あの最初に触ったNikon New FM2が欲しいと思った。いつもお世話になっているお店にもそれを相談していた。店頭に1台ある、シルバーのFM2がどうしても欲しい。予算的に春くらいまで我慢するつもりだったのです。
しかしこれまた店員さんとの会話や、まきりなさんの動画でも気になったNikomat FTnも欲しくなり、それを買おうかと相談したところ、FM2がどうしても欲しくて買うつもりなら、いっそそちらを買う方が予算的に賢いのではとアドバイスをいただく。確かにどちらもフルマニュアルの機械式フィルムカメラです。悩みに悩んだ結果、FM2を購入することにしました。2018/12/6のことです。ちなみにNikomat FTnはその後結局2台買いました。(ジャンク品ですが)
長くなりましたが、入手の経緯としてはこんな感じでした。
Nikon New FM2は1984年3月生まれ。Newとありますから、その前のFM2は少し前の1982年3月生まれです。私が1982年4月生まれですから、本当はそちらの方が思い入れが強くなりそうです。ポジション的にはNikon F2に対する中級機として売り出されたようです。フルマニュアルで露出計もあり、シャッタースピードはNikon F2を上回る1/4000まで可能。私が持っているカメラで最高速かもしれません。Dfと同じか。
私にとってなにより魅力的なのは機械式なので致命的な故障で手放さざるを得ない、という可能性が低めなことでした。できれば長く使っていきたい。ただしNikomat FTnなどとは違い、オートニッコールは装着できないようでした。Ai化されていないと付かないようです。あと、露出計は指針式ではなく、LEDの+〇-で表示されるタイプなので、どの程度アンダーなのかとかが私にとってはわかりづらいところはあります。いいところは先ほど挙げたことと、やはりその端正な姿です。そして巻き上げのジジジと細かな、ほんとうに細かな歯車同士が噛み合うような(実際どうなっているか、機械音痴な私には知る由もありません)音がするのです。早く巻きあげれば、ジィーっと。そしてシャッター音はカァン!に近いような甲高い、軽妙な音。礼儀正しく事細か、返事はキレのよい優等生に見えてきます。全身も比較的角のないものの手に持ってしっくりくる滑らかさ、そして軽さ。愛らしいです。
私がTwitterやnoteでこのNikon New FM2のことを呼ぶとき、Newを省略して呼んでしまうことが多いですが、持っているのはNewだけです。以下、撮った写真をあげていきますが、多分縮小がかかっているので、クリックすると原寸でみられます。
Nikon New FM2で撮った写真
FM2を購入した当時、MFのNikkorレンズというのは確か持っていなくて、Ai AF Nikkor 35mm F2Dか、Planar 50mm F1.4をつけていました。こういう枯れた蔦のようなものはPlanarで撮るととても好みの写りをしたものでした。初めて詰めたフィルムはC200です。
ただの電話ボックスですが、すっとした写りとフィルムの上品な粒状感がなんだか美しいなあと思った一枚でした。
FM2は多重露光が簡単にできるので、初めて試してみた一枚でした。多重露光は難しいですね。フィルムはKodak GOLD200です。
竹林の形が美しく、思わず撮った一枚でした。35mmくらいで引いて撮ってもよさそうですが、掛軸のフォーマットが頭にあったのでしょう、このバランスで直感的に気持ちよく感じて帰ってしまいました。
フジ業務用100で撮った、枯れた薔薇です。レンズは何か忘れましたが、わざとピントを外しているのか、外れてしまったのか。
美術館付近にて。
これは先日も行った手取フィッシュランドです。これはもっと暑い時期ですね。Lomography 100 Color Negative のフィルムで撮ってみたかったのでした。
能登へいった折、期限切れのPRO400Hを試しに1~2段明るめに撮ってみていました。さすがに2段はやりすぎだったなあと思います。バス停にひとつだけちょこんと置かれた椅子も、潮風で錆びてしまって誰が座るのか知れません。
同じ海付近ですが、こちらは千葉出張に行った折、ついでに神奈川の方にもいって湘南の海を見てきました。太平洋は冬でも青いんだなあと感動しました。この枝は誰が組んだともしれません。フィルムはLomography 400 Color Negativeです。
小田原駅のホーム。昼間で誰も人がいませんでした。
珍しく夜の竪町ストリートで撮った時の写真です。私はフィルムではことさらに露出が難しいという苦手意識から、夜スナップはしていません。この時は反射が綺麗だなあと思い、試しに撮ってみましたら、ちゃんと写ってくれていてよかったです。
千葉のホテルにて、フィルムを詰めてテスト。
多重露光、再チャレンジ。枯れた紫陽花とポール…組み合わせに特に意味はありませんが。
FM2で撮ったフィルムは、今現在のところ7本でした。露出計に対する信頼度はおそらく一番高く、びっくりするような写真が上がってくることはない優等生なイメージです。(使っているレンズがD200やDfで使ってきたものばかりなので、当然と言えば当然かもしれません)
フォルムそのものも、尖ったところはなく、自己主張しすぎず美しい。シャッターの甲高い音も、Nikomatなどとまた違ったキャラクター性を密かに主張してくれているのかもしれません。サイズ感が大きすぎず、これ一台だけ持って出るというのもバランスがいい気がします。今はNew Nikkor 35mm F2.8や、Ai Nikkor 28mm F3.5などのレンズも増えたので、より使っていきたいところです。ぜいたくを言えば、85mmあたりも増やしてお出かけセットにしてみたいなあとも。
それでは、よき写真生活を。