生姜伝説

あなたの風邪はどこから?という問いに圧倒的即答できる。
私は「喉」!

そして同じく「喉」と答えた方に言いたい。
我らの味方は生姜だ。
唯一神生姜。
生姜さえ食べればすぐ治る。これは中高まあまあ風邪を引いてた私が身をもって得た知識だ。
そして「え、生姜ってめっちゃ効くくない?」と思ってたティーン私のその仮説が確信に変わった出来事がある。
それは「生姜伝説」と名付けられ後世まで語り継がれることとなるのだ。

それは私が高校生だったある日のこと。
私は発熱した。38度くらいあった。
状況はあんまり覚えてないけど、なんかどうしても早く治して学校に行かなくてはならなかった。
当時すでに生姜が効くことに気付いていた私は、朦朧とした意識の中今回も生姜を使ってスープでもつくろうとしていた。
しかし、なんせ早く治さねばならなかった。
前回風邪をひいたとき、鶏ガラスープにまあまあの量の生姜を刻んで入れたところ、まあまあ早く治った。生姜の量と回復にかかる日数は比例することを薄々実感していた。
そして、私はぐにゃりとまがる世界の中で思った。

スープなんかじゃ生ぬるい。
もっと濃厚な生姜エキスを摂ればすぐ治るはずだ。

しかし私は当時生姜が嫌いだった。ただ刻んでそのまま食べることはどうしてもできない。どうにか咀嚼を避けて、味も生姜らしさを軽減させたい。また、生姜を喉にダイレクトに効かせるには温めることが大切だということもなんとなく感じていた。

そこで私は生姜をすりおろした。
半分くらいすりおろした。
そこに水(or牛乳)を少しずつ混ぜ、チンした。
そしてまた混ぜる。
そこに、片栗粉を投入した。とろみが体の中まで温かさを保ちつつ喉を保護すると考えたのだ。
さらに砂糖をドバッと追加した。生姜は苦手だがジンジャーエールは飲めるから。

チン

黄土色に艶光る、ドロリとかたまるそれをレンジから取り出す。
正直頭はまわってなかった。
サンサンと日光だけが窓から明るく差し込む。
小さいスプーンを取り、台所で私はそのドロリと対峙した。スプーンを差し込んで抜き、まとわりついたドロリに舌をおそるおそる近づけ、舐める

ショワショワショワッッッッ

全身の身の毛がよだった。

とっ、特級呪物…!!

私は呪術廻戦より先に「特級呪物」の言葉を口にした。
けどそれでも38度あったので五感は鈍っていた。
そして飲み込むときに、ドロリが喉をやさしく包み込み痛みがやわらぐのが分かった。

私は覚悟を決めて、小皿に盛られたそのドロリを完食した。
そしてその達成感と特級呪物の舌触りを感じながら、倒れるように寝た。

寝てる間に特級呪物はジンジン効いた。

起きる頃にはもう37度くらいで、しんどさは嘘みたいになくなり、次の日にはもうコロッと元気になって動き回っていた。
かくして、私は「生姜最強。そして生姜の濃度が高ければ高いほどその効果は高まる」ことを立証した。


しかし、あれは特級呪物なので今回の風邪程度ではとても錬成してはならない代物であった。
早く治れ、私がまたリスクを承知してまで過ちを犯してしまう前に…


ぐぅ


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