【ニュース】人気本『標本バカ』の特集企画が上野の科博でスタート間近! キリン(剥製)も帰ってくる!
明治40(1907)年3月15日に、ドイツから2頭のキリンが、上野の動物園にやってきました。名前はファンジとグレー。飼育環境が未熟だったためもあり、2頭は翌41年の3月に亡くなってしまいます。その後に2頭は剥製にされて、揃ってお隣の帝室博物館で展示されることになりました。
15年後の大正12(1923)年、関東の広範囲にわたって、未曾有の大地震に襲われます……関東大震災ですね。現在の国立科学博物館の前身である、当時は湯島にあった東京博物館も、火災により施設と資料の全てを失ってしまいました。その後、東京博物館は場所を上野に(再び)移して、1931年2月に「東京科学博物館」として再スタートを切りました(1927年頃から仮館がありました)。
東京博物館……のちの東京科学博物館であり現在の国立科学博物館を復興する際に、帝室博物館から自然科学系の資料などを、移したんです。その資料の中には、剥製のキリン、ファンジとグレーも含まれていました。
ただ、いつ頃なのか分かりませんが、上野の国立科学博物館が手狭になったからか、キリンのファンジとグレーは、同館の筑波実験植物園の敷地内にある収蔵庫へ移ってしまいました。それからは、知る人ぞ知る……という存在になり、東京の上野で展示されることはありません。
それがですね、2022年10月18日から始まった特別展『国宝 東京国立博物館のすべて』で、科博に移されてから約100年ぶりに、トーハクで展示されたんです。これって、もう感動ものじゃないですか!?
ということで、わたしも観に行きましたよ。広い展示室の真ん中にドーン! と、ファンジだけですが、展示されているのを2〜3周して眺めました。またいつ観られるか分かりませんからね。
そう思っていたら……なんと来週から科博で始まる『日本の哺乳類学の軌跡』という企画展で、どうやらファンジが展示される“っぽい”んです。なんで“っぽい”のかと言えば、同企画店のパンフレットに、ファンジ“っぽい”のが写っているのですが、パンフレットには「キリンの本剥製」が出品されるとだけあって、「ファンジの剥製」とはどこにも記されていないからです。
でも99%、これはファンジだと思われます。きっと、トーハクに持ってくることが決まった時から「じゃあうちでも展示しようかな」と、科博でも議論されたはずです。
同企画展は、日本館で開催されます……あの上空から見ると、飛行機の形をしている1930年竣工の日本館です。あの特別企画展『ポケモン化石博物館』が開催された、あの部屋でです。ということで、おそらくファンジは、日本感の、昔は入口ロビーだっただろう吹き抜けのスペースに、ドドーン! と展示されると推測しています。
なんでこんなにファンジに惹かれるのか、自分でも分かりませんが、ファンジを観られると思うと、今から楽しみなんですよね……ほんと不思議です。
まぁ正直、哺乳類学とか言われても、美術と同じかそれ以上に無知&無関心なのですが……それでも観に行くんですよね、きっと。それはファンジを見たいからだし、おそらくファンジと同じくらいにストーリーを持つ動物たちの剥製があるんだろうと思うからです。
企画展のパンフレットを“眺める”だけで、そんな気がしてきましたよ。例えばファンジの他に、パンダが写っていますよね(↑ 上のパンフレット表面)。これ、おそらくトントンの剥製と骨格標本なのでは? なんて思いました。トントンと言えばWikipediaによれば、「日本国内で繁殖に成功したジャイアントパンダの1例目」ですよ(国内で誕生したパンダとしては2頭目)。もしそうだったら……まぁトントンではなくても変わりませんが……とても楽しみです。
さらにパンフレットの裏面を見ると、国立科学博物館・脊椎動物研究グループ・動物研究部の川田伸一郎さんという方の、下のようなコメントが載っています。
それで思い出しました。まだファンジとグレーのことが記されている一部分しか読んだことはありませんが、『標本バカ』の著者じゃないですか。その著者の川田伸一郎さんのお気に入りを集めているとは!
つまりは、本の名前を大々的に使ってアピールできないけれど(権利関係があるでしょうから)、これはもう『日本の哺乳類学の軌跡』という難しい企画ではなくて、『標本バカ』の特集企画ということになるでしょう。
ということでますます始まるのが楽しみです。この本も、勢いで買ってしまうかもしれないなぁ。
【2024年6月18日に追記】
やっぱりファンジの剥製も展示されていました。上述した場所での展示ではありませんでしたが、ドドン! と展示されていました。
展示の詳細については下記にまとめました。
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