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レンタサイクルで、今までとは違う「日光」を体験!
まだ正月疲れから立ち直っていないのに、週末に日光へ行きました。秋に日光東照宮へ行ったばかりなのに再訪した理由は、輪王寺と二荒山神社へも参拝したくなったため…というだけではありません。
毎日、なにかしらの予定が入っていないと不安になる人っていますよね? 「え…わたし暇だな…」と感じて不安に陥る人……妻がそういうタチなんです。そのため、文字通り暇さえあれば「どこか旅行に行きたいよね」と呟いています。(ちなみに帰りの電車の中で、来月の旅行の計画を立てて、宿の予約をしていました)
いま我が家でよく行く場所は、長野の限界集落、静岡の伊東が不動のTOP 2です。そのほか箱根や日光、千葉の館山も候補にあがります。いずれも快適で料理が美味しく安い宿があるか、義理の父母などと行くからです。
そして今回は、宿が取れたからというのと、屋外アイスリンクでスケートができるからということで、日光へ行くことになりました。ただしわたしは、やっぱり輪王寺や二荒山神社も、ゆっくりと参拝しておきたいと思い、家族よりも半日早く日光入りしました。
■日光で初のシェアサイクル(レンタサイクル)を体験!
午前中に用事のある妻と息子を残して、一人で日光を目指しました。今回の目的は、輪王寺と二荒山神社です。両寺社は、日光東照宮と合わせて、二社一寺と呼ばれています。
日光へ向かう東武線の特急列車の中で、「どうやって輪王寺まで行こうかな」と考えました。レンタカーは、翌日から借りる予定です。徒歩だと40分くらいはかかるし、バスは道が混んでいたら時間がかかりそうです。
それで「日光にレンタサイクルはないのか?」と思い立ち、Googleマップで調べてみると……予想外にも、シェアサイクルの「ダイチャリ(旧ハローサイクル)」があるじゃないですか!(びっくり!)
ダイチャリは、15分単位でアプリなどを使って、気軽に借りられるシェアサイクル(レンタサイクル)です。自宅の近くにもあるため、時々ですが、使っています。
そっさくダイチャリのアプリを開いて、自転車ポート(専用の駐輪場)の場所を調べてみたら……またまたびっくり! 東武日光駅の駅前と、目的地にしている輪王寺大猷院と二荒山神社の目の前……それに輪王寺の本堂にも一カ所あるじゃないですか! まさに理想的な場所に、自転車が置いてあるということです。
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ということで、今回の移動手段はダイチャリに決定しました!
■旅するには自転車の速さがちょうどいい
わたしは普段から、仕事でもプライベートでも自転車移動が多いです。仕事では、もっぱら利便性を考えた結果、最も便利なのが自転車移動ということが多いのですが、プライベートでも自転車は最も便利な移動手段だと考えています。
たしか作家の村上春樹さんは、エッセイだったかで「その街を感じるには、ジョギングの速さがちょうどいい」と言ったことを書かれていました。同じように、わたしにとって"街を感じる"のに最適なのが、ずばり! 自転車なんです。
特に旅行で、一定のエリアしか移動しないときには、計画を立てる際に、まっさきにレンタサイクルを探しました。※子供が生まれてからは、レンタサイクル移動が難しくなっています。子供用自転車の貸し出しって、限られるんですよね。
いま思い浮かぶ自転車で巡るのがベストな観光地は、佐渡ヶ島や京都です。
佐渡は、十数年前から電動アシストのレンタサイクル網が整備されています(逆に今は知りません…)。島内各所に、佐渡の観光協会(だったかな?)が用意した自転車ポートがあるんです。電動アシスト自転車を1日借りて、バッテリーが切れそうになったら、次のポートでフル充電された自転車に乗り換える……なんてことが可能でした。それで、ぐるぐると島内を回ったんです。
京都は、電車やバスも便利ですが、いくつものお寺を巡りつつ、途中で気ままにカフェなどで休憩するのには、レンタサイクルがベストだと感じました。自転車だと、「あっ! 今のところ何?」なんて、通り過ぎた場所へ戻ってみるのも散歩感覚です。
ということで、ダイチャリがあると知った日光でも、さっそく電動アシスト自転車を借りることにしました。
■アプリで予約して、いざ日光山へ!
日光にダイチャリがあると知ったのが、新鹿沼駅を過ぎたあたりでした。その段階で、ポートで借りられる自転車の数が少なくなっていたので、アプリから予約しておくことにしました。自転車の予約は30分間有効です(30分経過しても借りなかった場合は予約が解除・無効になります。キャンセル料は無し)。
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乗ってきた東武の特急列車です。上の写真を撮ったのが12時24分。駅を出たらさっそく自転車ポートへ向かいます。
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それぞれの自転車には、サドルの下に番号札がついています。アプリで予約した自転車の番号を探し、ハンドルにあるディスプレイの電源をオンにします。(記憶による手順では……)パネル左側の「HOME」を押し、「1 日本語」と表示されたら、パネル下部にある1〜6くらいの数字の「1」を押します。「暗証番号」の入力を求められるので、アプリの「鍵」マークの隣に表示された5桁の数字を入力します。すると、自転車の鍵が「うぃ〜ん」と鳴ったあとに「カチッ」と自動で解錠されます。
この段階で12時27分でした。電車を降りてから、3〜4分で出発できたということです。
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旅行バッグは、駅のロッカーに預けようかとも思いましたが、ロッカー代が700円だったので、涙を飲んで諦めました……(ケチなんですよね…)。
■日光のローカル神社を見て回りました
自転車を借りて、さっそく出発です。
日光街道沿いでも良かったのですが、人混みが嫌いなのと、通ったことのない風景を見たかったという理由から、裏道を進むことにしました。
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まっすぐの道を2〜3分ほど進むと、右手に小さな神社がありました。まずは地元の神様にご挨拶を……と思い、自転車を降りて参拝しておくことにしました。
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小さいけれど神社の敷地内はキレイに整備されています。きっと地元の人達が大切にしてきた場所なんだろうなと感じました。神社の名前は稲荷神社です。
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小さな社殿に近づいていくと、由来を記した手作り感満載の2枚のプリントが置かれていて、「ご自由にお取りください」と書かれた札がありました。その一枚を手にとって読んでみると、冒頭には「ようこそ稲荷町にお越しくださいましてありがとうございます。ゆっくりご覧いただければ幸いに思います。」と書かれています。そして、この稲荷神社や周辺の寺社が紹介されていました。
このプリントを見て、これまで全く知らなかった稲荷町という街に、すごく親近感が沸きました。
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プリントは宿に付いてからでも、ゆっくりと読ませてもらおうとバッグの中にしまい、とりあえずは参拝することにしました。すると、記憶によれば……なのですが「上がって参拝してもいいですよ」というようなことが書かれていたような気がします。
そこで、せっかくだからと思い、社殿に上がって参拝しつつ中を拝見しました。
以下はプリントに書かれていたのですが、御祭神・主神は稲倉魂命(うかのみたまのみこと)で、配神は大物主命(おおものぬしのみこと)とのこと。
約800年前の鎌倉時代・建保6年(1218年)に、京都の伏見稲荷大明神を外山村(稲荷村)に勧請したことに始まるそうです。しかし、江戸時代・寛文2年(1662年)の6月(太陽暦8月8日)に、近くを流れていた稲荷川の大洪水で旧稲荷町が流出してしまったそうです。そこで徳川幕府から1000両の援助を受けて、稲荷町を現在地に移転したとあります。同時に村の鎮守である稲荷神社も同時に遷座したそうです。
この災害の溺死者は148名、流出家屋は約300戸、被災者は915名だったというので、村全体が被災したんでしょうね。
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「西行戻石」の由来についてもプリントに記されていました。
僧の西行が(1118〜1190)が、鎌倉時代初期の文治2年から同3年の頃(1186〜1187)に、奥州平泉の藤原氏を訪れる途中、この場所に立ち寄ったそうです(まだ稲荷神社が無かった頃ですね)。西行は69〜70歳の頃なので、最晩年と言ってもよいでしょう。西行が来た時に、写真の大きな石の上に、籠を背負い鎌を持った少年が居たそうです。
「おまえは、これからどこへ行くんだ?」と、西行は挨拶代わりに聞いたのでしょう。すると少年は「冬萌きて夏枯れ草を刈りに行く」と、詩で応えたそうです。
それを聞いた西行は「この先に行くと、どんな詩の名人が居るか計り知れない」と、この場所から黒髪山(男体山)を拝して引き返したと言われているそうです。
詩の名人が居そうならば、逆に好奇心で先へ進みたくなりそうなものですが……なにか危険を察したんでしょうかね。とにかくこの石は 「西行戻石」と伝わっているそうです。
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境内の脇には、庚申塔(3基)や青面金剛(13基)、梵字(2基)、弁財天(1基)が整列していました。なんだろう? と思ったのですが、書かれている文字も判然とせず、近くに建つ案内板の文字もほとんど読めませんでした。
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ただ、前述のプリントには、しっかりと由来が書かれていました。
これらの石は、仏教と神教、道教が組み合わされたものだそうです。仏教では青面金剛(夜叉)、神教では猿田彦(天狗)、道教では(天の神)を奉ったものといいます。
■こんな場所があったのか! と思った「虚空蔵尊」
ということで、神社を後にして、また自転車にまたがって出発しました。するとですね……また2〜3分走ると、今度はミニ東照宮といった雰囲気の、小さいけれどものすごく立派な社殿が現れました。
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さいしょ、わたしは神社だと思いました。入り口に2つの鳥居が重なるように建っていたからです。ただし名前は「鎮守 虚空蔵尊」と記されています。
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この虚空蔵尊も、先ほど稲荷神社でもらってきたプリントに、由来が記されていました。
日光を開山した勝道上人が7歳の時に、日光開山のお告げを夢で見たそうです。このお告げをしたのが、明星天子(磐裂神)。後に神橋の南岸……金谷ホテルの近くに「星の宮 磐裂神社」を作って祀られることになります。
これを江戸時代の寛永17年(1640)に分祀したのが、稲荷町の虚空蔵尊とのこと。明星天子は「星の宮」で、仏教では虚空蔵菩薩、神道では磐裂の神となるそうです。「神仏混合の証として虚空蔵尊でありながら鳥居がある」と記されています。
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それにしても立派なこと。金谷ホテル近くの「星の宮 磐裂神社」から分祀されたというのに、その元の神社よりも立派な社殿ではないですか。
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なぜこんなに立派で、東照宮みたいな社殿なのかと言えば……この虚空蔵尊は、貞享元年(1684)の大火で罹災消失してしまったそうです。そして、東照宮の元禄御造営で来ていた諸職人方の手を借りて、元禄5年(1692)に再建されたのが、現在の社殿なんだそうです。
「入母屋造りに軒唐破風をつけた本朱塗極彩色の御宮造で、昇竜降竜の彫刻類も力強く、栃木県有形文化財の指定を受けている」とあります。
と同時にですね……先ほどもらったプリントによれば、この虚空蔵尊裏から隣接する防災公園にかけての一帯には、日光東照宮建築修営時の作事小屋があったのだそうです。
「文献によると、元禄の修営は、用材を江戸本所に小屋を設け全国から良材を集め川筋の江戸川〜利根川〜渡良瀬川〜思川を利用して現在の栃木県間々田の乙女河岸まで運び、そこから陸路でこの地まで運び最終細工をした。証に用材に細工をし仮に柱を組んだ礎石が現存している。(高田家裏庭)」とあります。
この虚空蔵尊の社殿も、作事場だった証の一つだったのでは? なんて思ってしまうほど、贅を尽くした造りでした。こんなところがあるなんて……日光へは何十回も来ているのに、初めて知りました。
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■神橋〜西参道〜輪王寺大猷院へ
虚空蔵尊を後にして、また自転車のペダルを漕いで、今度こそ輪王寺大猷院を目指しました。再出発して3〜4分を走ると、今度は金谷ホテルが左手に見えてきました。いよいよ走ってきた道が、神橋の手前で日光街道などと合流します。
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神橋は、日光山の下を流れる大谷川に架けられた、朱塗りの木橋です。幅6m、長さ26.42m、水面からの高さは10.6mだといいます。
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久しぶりに間近に見ましたが、立派な橋ですね……。
ただし、この橋の前を通るときには、車道も狭く歩行者用のスペースもほとんどなく、ちょうど渋滞していた自動車が加速していく場所でもあるので、とても危険を感じる場所でもありました。
その神橋をすぎれば、また広い歩道があるので、怖い車道を避けて歩道を走らせてもらいます(危険を感じる際には、自転車の歩道走行は認められています)。
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ここからぐるっと日光山を1/3くらい回って、西参道へ向かいました。そして、西参道から二荒山神社や輪王寺大猷院を目指して山を登っていきます。もちろん電動アシスト自転車なので、上り坂でもすいすい進みます。
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いよいよ西参道も終点間近で、二荒山神社が見えてきました。ゴールは、二荒山神社の鳥居の向かい側にある、常行堂の脇の、ダイチャリの自転車ポートです。いやぁ……すごいところにポートがあるものです。
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ここから輪王寺大猷院は、徒歩1〜2分。もう目の前に門がある場所です。ポートに自転車を停めて、後輪の鍵をロックして、あとはハンドルにある操作パネルで返却操作を行います。
12時27分に自転車でスタートして、返却したのが12時58分だったので、ちょうど30分かけたことになります。おそらく寄り道しなければ、15分かかるかどうかと言ったところです。
ちなみに、輪王寺大猷院を見た後は、二荒山神社を参拝してから、東照宮の仮宮に寄って、輪王寺の本堂へ向かいました。
その輪王寺の本堂の近くにある駐車場の喫煙所近くにもダイチャリのポートがありました。帰りはそこでダイチャリの自転車を借り、東武日光駅へ戻りました。
帰路はどこに寄ることもなく、来た道をぴゅ〜〜っと、ほとんどペダルを漕ぐこともなく下っていくだけです。所要時間は10分弱。
ダイチャリのおかげで、とても快適な観光ができました。
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