東京国立博物館に、復元された法隆寺金堂壁画が登場! 古代美術の息吹を体感してきました
東京国立博物館(トーハク)では、1月31日から「デジタル法隆寺宝物館」が新設されました。これはデジタル保存された法隆寺の多彩な宝物を、複製品としてパネル展示していく……といった試みです。その第一回目では、国宝の『聖徳太子絵伝』の複製品が展示されていました。
そして2023年8月1日に始まったのが『法隆寺金堂壁画』です。
同壁画は法隆寺の金堂に、7世紀後半から8世紀はじめに描かれました。その金堂は、昭和24年(1949年)1月26日の解体修理中に、火災に遭いました。そして内部の壁画も被害を受けてしまいました。
でも、その火災や解体修理前の昭和10年(1935年)に、美術印刷会社の便利堂によって、ガラス乾板(コロタイプ原板)を使って撮影されていました。この363枚の「写真ガラス原板」自体も重要文化財に指定されているのですが、近年、専用の高精細スキャナー(1500dpi)でデジタル化されて、2020年には『「法隆寺金堂壁画」写真ガラス原板デジタルビューア』として公開されました。
なお以下のYouTube動画では、1949年の法隆寺金堂の消失直後の様子や、その18年後に復元作業を試みる日本画家たちの作業風景、それ以前の1935年に壁画を撮影している様子が見られるほか、ガラス乾板やコロタイプという技法について知ることができます。
実際には高さ3メートルほどの大きさですが、デジタルデータから少し縮小されて複製されたパネルが、トーハクの法隆寺宝物館で展示されています。2024年1月28日まで展開予定なので、それほど急ぐ必要もないのですが、さっそく見てきました。
■縮小復元された法隆寺金堂壁画の概要
法隆寺金堂壁画グラフィックパネル (複製)
原品: 重要文化財 飛鳥時代・7〜8世紀 奈良・法隆寺蔵
原本よりもひと回り縮小されて複製されたパネルですが、その配置は、法隆寺金堂の配置と同じです。そのため「まるで金堂の中で壁画を見るような雰囲気を味わえる」と言うと言い過ぎですが、それでも金堂内をイメージしやすいのは確かです。
■第一号壁《釈迦浄土図》
■第二号壁《菩薩像》
■第三号壁《観音菩薩像》
■第四号壁《勢至菩薩像》
■第五号壁《菩薩像》
■第六号壁《阿弥陀浄土図》
■第七号壁《観音菩薩像》
■第八号壁《文殊菩薩像》
■第九号壁《弥勒浄土図》
■第十号壁《薬師浄土図》
■第十一号壁《普賢菩薩像》
■第十二号壁《十一面観音像》
■動画で見る法隆寺金堂壁画
もう少し壁画について知りたいなと思って、検索していたら、この壁画は焼損はしましたが焼失したわけではなかったそうです。「もうなくなった」と思っていたのですが、全くの勘違いでした。
壁画が焼損後に、どう扱われたのかが分かる動画がありました。
また2年前には、その焼損した壁画が限定公開されていました。
そんなことを合わせて知りつつ、トーハクの法隆寺宝物館に縮小復元された壁画を見ると、より味わい深いでしょうね。
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