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ゴールデンカムイの世界を深掘りできる東博16室〜マキリ(小刀)など〜

漫画・アニメの『ゴールデンカムイ』は、明治末期の北海道や樺太を舞台にしています。週刊ヤングジャンプでの連載完結を記念して、『ゴールデンカムイ展』が各地を巡回していますね(現在は京都で開催)。

同展の東京会場は終了済みですが、『ゴールデンカムイ』を、もっとリアルに感じたい人におすすめなのが、東京国立博物館の本館最奥の室16室です。この16室では、いつでもアイヌ(と琉球)関連の展示が見られます。

ゴールデンカムイ展
左が小刀のマキリ(北海道アイヌ・19世紀・拵は木製、刀身は鉄製)徳川頼貞氏寄贈。右が山刀のタシロ(同・19世紀・木製)

狩猟や漁労の際に用いた、刀身の長い山刀はタシロと呼びます。枝の切り払いや動物の解体、熊などに遭遇した際には身を守る武器にもなりました。木製や鞘や柄には、見事な文様が彫刻され、本例のように鹿角をはめ込んで飾ることもありました。

解説パネルより

解説にもある通り、さやつかなどの拵えこしらえに、すてきな文様が彫り込まれているのが印象的です。ゴールデンカムイもですが、子供の頃に読んだ佐藤さとるの『コロボックル童話集』の小人たちが持っていた小刀を思い出しました(正確には同書の村上勉さんが描く挿絵のイメージですね)。

上の写真の山刀のタシロに刻まれた文様
同じく山刀のタシロの、鞘の先端部分

上のマキリは<2022年8月21日>まで展示されていました。下のマキリは、それ以前の過去に展示されていたものです。

いずれもマキリ(小刀)。右2つは徳川頼貞氏寄贈
マキリ(小刀)。徳川頼貞氏寄贈
マキリ(小刀)。徳川頼貞氏寄贈
弓(北海道アイヌ・19世紀・木製)と、右が猟具(柄が木製で鈎が鉄製)

弓はそのまま弓ですが、

矢筒と矢(北海道アイヌ・19世紀・木製)

狩猟用の矢筒でしょうか。こちらも筒の表面に独特の文様があしらわれています。文様だけを拡大して撮影したのが下の写真です。矢筒を立てた時に左右対象になるようデザインされていますね。

矢筒の拡大
左が釣具のヤマテ(北海道アイヌ・19世紀・石、竹、オヒョウ製)、右が銛頭(北海道アイヌ・19世紀・鉄、獣骨製)

解説パネルの位置が分かりづらく、確信できないのですが、上の写真の左が、イカ漁用の釣具のヤマテです。また右が銛頭もりがしら

細く割った竹棒の中央に錘石おもりいしを結びつけ、左右に紐を垂らして釣り針をつけています。イカ釣り用の仕掛けで、釣り糸を上下させ、竹棒の弾力を利用して先端につけた餌を生きているように見せます。現在用いられているイカ釣り針にも類似した構造のものがあります。

解説パネルより

欲しくなった能登マキリ

冒頭の小刀=マキリを調べていたら、能登マキリというのが出てきました。見ていたら、この小刀が欲しくなってしまいました。


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