詩 落ちた柿
晴れた空が気持ちの良い日
空気は少しひんやりと
陽ざしは母の手のようにやわらかく
やさしくからだを抱いている
道に落ちてる柿の実は
朱く艶やかに色づき
やっと熟したというのに
その喜びを分かち合う前に
道に落ちて割れていた
命の儚さを思うけれど
目の前の風景を切り取って
画にすることができるなら
画の中の落ちた柿の実は
画家の心そのものだろう
やがて全てが枯れ果てる
灰色の季節が訪れる
木々は枯れて押し黙り
大地は固く冷たく閉じる
今はただひたすらに
生への感謝しかない
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