詩 暮れる秋
夕暮の秋の並木道を
落ちた銀杏を気にしながら歩く
目の前には手をつなぐ若い男女
白い手と手のつながりが
道に落ちた銀杏に映えていた
昼間はまだ少し暖かくても
日が暮れるにしたがい肌寒くなる
手にクリームを塗りすり合わせ
少しだけ温もりを思い出す
洗濯物をとり込みながら
暮れてゆく空を見上げる
一枚一枚をたたみながら
たたんだ服を見つめている
夕餉の支度をしていれば
包丁の音がここち良いけれど
食事の時間はすぐに過ぎる
椅子に座りお茶を飲み本を読む
外から虫の声がして
秋の夜はゆっくりと更けてゆく
秋の日々もこうして更けてゆき
寂しくも何もない安らぎが
暮れてゆくのだろう
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?