詩 秋の三日月
夜の空を見上げると
ブラ下れるような三日月がある
その大きな月は
街を見下ろすようにある
僕はジッとその月を見て
記憶の底を手繰り寄せる
なぜか、とてもなつかしい
なぜか、見てると安心する
僕の田舎は夜が濃く
低い建物ばかりだから
月がとてもよく見えた
冬が近い今ごろは
陽が落ちるのが早くなり
学校帰りには何度か月を
見ただろう
明るい月が夜道を照らし
ホッとしたかもしれない
当時、見上げたその月を
今、僕は見上げてる
その間に流れた時間は
月にとっては一瞬だろう
三日月は
やがて上弦の月となり
新たな満月として
また現れる