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詩 黄色い月

煌々と空を照らす、月。
その美しさに、皆が見上げる。

夜を照らす明かりは、暗い闇をかき消し、
昼間のような世界を映し出す。
夜を照らすその明かりは、誰からも愛され、
誰もがそれを見たいと願う。

遠い昔から、人は月を愛し、月を愛(め)で、
月に焦がれてきた。
月には別の世界があると信じ、
誰もが月の世界を思い描く。
永い間、愛され続けた月。

僕たちは月を愛する様に、
この世界を、この世界の人たちを、
愛することができないのはなぜだろうか。

なぜ人は一度、愛をその手に掴むと、
壊してしまうのだろう。
壊して、飽きて、興味をなくし、
次のものを手に掴もうと探し求める。
それが誰かの手にあれば、奪おうともする。
奪えなければ、盗む隙を伺う。

そんなに苦労して手に入れたものなのに、
手にした瞬間、興味を失う。
人とは、なぜこんなにも、未熟なのか。

それでも、長い年月、人の一生からすれば、
気が遠くなる年月を経て、
人は少しづつ成長してきた。

今、人は、奪い合わない世界を目指し、
不完全でも、言葉だけでも、
行動しなくても、
その世界を目指すという目的を、
世界の人が共有するまでになった。

失敗を繰り返さないと、
いや、繰り返しても、
失敗を続けてしまう僕たち。

「長い年月、間違えても間違えても、
ひたむきに続ける」ことを、
道元は将錯就錯(※)といった。

僕たちは間違いを続ける。
ひたむきに続ける。
その僕たちを、月が、見ている。

※鈴木俊隆「禅マインド、ビギナーズマインド」p54 出所


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