詩 雲月

月のない夜

ぬるい空気と
ぬめるような風
肌に纏わりついてくる

耳には微かに虫の声
家の灯りに浮かんでる

ゆったり流れる時の中
僕の胸は少し痛くなる

そこへ目に映る
明滅するあかり

仰ぎ見ると
蛍光灯がチカ、チカ、またたいて
静かな夜の邪魔をする

そのとき
隠れていた月が
ゆったり顔を覗かせて

雲の間から
僕の方を眺めやる

僕がじっくり見返すと
雲を纏って顔隠す

僕は目で追いかけて
現れるのを待つけれど
もう月は現れない

ひとり立ち尽くす僕

蛍光灯がチカ、チカ、またた


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