踏み切り待ちで
日が傾いた道を車で走る。
踏み切りの遮断機が下り、
電車が通り過ぎるのを待つ。
待ってる間、
左手を見ると、
何かの店の小さな庭で、
手作りの回り灯篭が、
クルクルと回ってる。
空き缶で作ったものらしい。
縦にくの字にぐるり、
キレイに切れ込みがしてあり、
くの字に風を受けて、
クルクル回る。
踏み切り待ちで
ボンヤリ眺めてると、
何故だか胸が、
少しく痛む。
*
子供頃見た回り灯篭。
お盆の季節に必ず出され、
クルクルと、キレイに回る。
玄関には大きな提灯を下げ、
仏壇には線香をあげる。
煙が部屋を巡り巡り、
線香の香りが
ほのかに漂う。
夕暮には
近くの林から、
ひぐらしの声が轟く。
日暮れて
田んぼに行くと、
稲の間を、蛍が舞う。
あたりは、
カエルの鳴き声が
あふれてる。
*
そんなことを
思い出してると、
”行っていいよ。”
といわれたように、
踏切の遮断機が上がる。
僕は車を走らせた。