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ごほうび

 着なくなった服を、大きな風呂敷に包んでリサイクルショップに持ち込み、買い取ってもらった。
 以前と比べて、随分とクローゼットのなかの衣類が少なくなったように思う。スーツを着なくなったこと、そして、服選びにおいて着心地の良さがかなり優先されるようになった結果かもしれない。

 リサイクルショップに行く途中で星乃珈琲の看板を見かけて、「そうだ、久しぶりにスフレを食べよう」と思って立ち寄った。
 星乃珈琲の窯焼きスフレが大好き。
 以前京都に住んでいた時、六盛のスフレを食べるのが最高のごほうびだった。まだ大学院生だったのでそんなに頻繁にはいけなかったけれど、大好きだった。
 
 今日のスフレも、ちょっとしたごほうびだ。服の整理をしたことと、事例検討会の資料を仕上げたこと。よくやった。

 リサイクルショップで査定待ちの間、野口晴哉『体癖』ちくま文庫、を見つけて購入した。大学院生のころ、『整体入門』を持っていたと思うけど、あの本はどこに行ってしまったのかしら。まだあるのかな?

 思いがけず、院生時代のことを思い出す一日になった。

 リサイクルショップでは、箱庭用のミニチュア玩具も探してみたけれど、今日はぴんとくるものがなかった。
 
 そういえば先日、私の先生について、「生前、散歩に行くたびに(箱庭用に)小石や小枝などを拾ってきたので、帰るとポケットがそういうものでいっぱいだった」というエピソードを聞いた。 
 箱庭用のアイテムとして、という文脈だったが、その話を聴いて、先生がクライエントの心の中の多様なものを拾い上げようとされていたことの表れのように思い、静かに感動した。

 私も、私なりに、出来る限り柔軟に、出会う人、物に刺激を受け、自分を広げていきたい。
 そのためには、隙間がいる。余白がいる。遊びがいる。
 だから私は動きやすく着心地のいい服を着たいし、クローゼットにも隙間があるくらいでちょうどいいのだ、と思っている。

 
 

 

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