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書籍レビュー『人を選ぶ技術』

『人を選ぶ論理的な手法が学べる一冊』

仕事やプライベートに関わらず、すべての人が必ず人を選ぶ、という場面に直面している。
部下や同僚、仕事相手、恋人やパートナー、友人など。

自分が望まなくても付き合わなければいけない場合も多いが、その場合もその人がどんな人なのか分かれば無用な問題を回避できるだろう。
本書は特に仕事における採用や後継者育成に課題を持っている方向けの書籍である。

著者はエゴンゼンダーという大手企業の後継者選びを支援するサーチファームで培った経験を元に、一般的なビジネスパーソンんが利用できる人を選ぶ技術を体系化してまとめている。
私自身も中途採用を行うことが多くなり、採用において何を重視してみるべきか、悩んだ結果に本書を手に取った。

本書でも述べられているが、こと採用に関しては採用者それぞれの主観的な判断に依存する部分が多いと感じる。
特に採用に関わる面接官が多い時にはその基準はバラバラで、最終的には最も役職の高い人間の主観で合否が決定されることが多い。
こうした採用の場面で、もう少し科学的・論理的な方法がないものかと考えていたところ、本書はまさに最適な書籍であった。

本書では人を見るときに以下の4つの階層で捉えるように整理している。
1F 経験・知識・スキル
B1 コンピテンシー
B2 ポテンシャル
B3 ソース・オブ・エナジー
この階層を示す際に1Fから始まって地下に潜っていく表現が、いかにも人間の深層に迫っていくイメージと合致しており分かりやすい。

そして内容を読み進めると、これまで自分が1F程度でしか人間を見ていなかったということが良くわかる。これまでの経験の延長線上で、これくらいの活躍をしてくれるだろうという期待をかけるのではなく、こうした経験を積み重ねたその人の持つ汎用的な強みや、将来の成長ポテンシャルまでを見ていくと知って感銘を受けた。

また、本書では個人のパフォーマンスは高いが組織に悪影響をもたらす「EVIL」な人の見分け方も説明している。
チームのメンバーが生き生きと、各自の持つ能力を発揮して活躍できる職場を作るためにも、中途採用で「EVIL」な人を採用してしまうようなことは避けたい。

短い面接の時間の中でその人の全てを知るようなことはもちろん難しいが、それでも少しでも深く相手を知ろうとする努力こそが、良い人を見つけチームを強くする一歩であるとっ知った。

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