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ムダな仕事が生まれるメカニズム

こんにちは。はこにわガジェットです。
当マガジン「マネジメントハッカー」では主にマネージャーやリーダーの方を対象に仕事のマネジメントに関わるノウハウやTIPS等をお伝えしていきます。

今回のテーマはこちら。

ムダな仕事が生まれるメカニズム

仕事をしていると、この仕事はやる意味があるのかな、と思いながらも、上司の指示だから、前から続いているから、という理由でなんとなく続いている業務がないでしょうか。今回はこうした無駄な仕事が生まれるメカニズムを考察します。

1.ケーススタディ

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ITソリューションの販売を手掛けるA社の営業企画部に在籍する若手社員の牧野は、上司である高橋課長から声をかけられた。

『当社で新たな取り組みとしてECサイトを立ち上げることになった。ぜひ君に担当してもらいたい』

牧野は現在抱える他の仕事で非常に忙しい中、新たな仕事が増えることに戸惑いつつも、単純な疑問を口にした。

『ただ課長。当社の商品は結構金額も高いですし、ECで簡単に売れていくような商品でもないと思います。これまで対面での営業が中心だったので社内にWebマーケティングの知見のある人もいないですし。そのあたり、どういった方針ですか?』

高橋は少し困ったような顔をして答える。

『いや実は、この企画は常務から発案されたものなんだ。世の中ではデジタルマーケティングが流行っているのにうちは何もやっていないなんてダメだ、と。とにかくWebでサービスを売るところから始めるように、部長からも指示があってね。私もどう進めていいか悩んでいるんだよ。』

牧野は、またか、と心の中でつぶやいた。こうした経営層発案の企画は今回が初めてではない。ただ、どれも現場の状況を把握していない経営層が、世の中や他社の動向を聞いて発案したアイディアであり、自社で効果が出るかは疑問のあるものばかりだった。

そんなことは牧野に指示が来る前に部長や課長もわかっているはずなのだが、経営層の企画に反対や修正が加わることはなく、そのまま伝言ゲームのように担当に指示される。

きっとこのECサイトもたいして売上には貢献せず、常務が引退したらすぐになくなるんだろうな。牧野はそう思いながらとりあえずどう仕事を進めるか考えることにした。

2.無駄な仕事が生まれるメカニズム

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ケーススタディの例では、現場では無駄だと思われる施策が、誰にも反対されることなく進められています。
規模の大きな会社になればなるほどよくある例ではないでしょうか。

こうした仕事の生まれるプロセスは以下の通りです。

・上司が思いつく

・部下に指示する

・何も考えずにそのまま更に部下のマネージャーへ投げられる

・担当者へ行きつくころには目的もその企画が選定された理由もわからない

・やらされ仕事の発生

こうした仕事を部下に頼む際の中間管理職の口癖は、『あの人の指示だから仕方ない』です。

3.無駄な仕事を止める難しさ

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やっている本人がうまく行かないと思っている仕事は、残念ながら成功する確率は低いでしょう。
こんな無駄な仕事はすぐにやめればいいと誰もが思うのですが、実際には止めるのが難しいのです。

例えば現場のマネージャーが、上司である部長から指示されたときに、反対したとします。それは成果が出ないからやるべきではない、と。

これをきちんと上司に言える人もかなり少ないと思いますが、障壁は更にその先にあります。

部長はなんと言うかというと、『では、君からその理由を私の上司の役員に説明してくれ』です。自分では反対したくないので、部下に反対意見を言わせるわけです。

これが、役職の階層が増えると更に何段階も上に遡って全て反対意見の発案者が説明していなかなければならない、というメカニズムが生まれます。

指示が降りてくるときは一階層ごとにリレーされるのですが、反対するときはなぜかリレーされず、反対意見の発案者が最後まで説明していかなければならない、という非対称性がうまれます。

誰が考えてもこんな説得は面倒くさく、結局、言うことを聞いておいた方が楽か、という結論になるのです。

4.マネージャーの役割

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では、こうした上層部の思い付きによる無駄な仕事がまかり通っていてよいのでしょうか。

いいえ。そんなわけはありません。
こうした仕事を早くやめ、メンバーの能力を成果の出る仕事に向けさせることこそがマネージャーの仕事です。

部下が無駄だと思っていることは、自分の上司にも正しく伝え、場合よっては戦う姿勢を見せる。こうすることで部下からも「あの人は自分たちの意見を尊重してくれる」という信頼を勝ち取ることができます。

部下からの信頼を得られないマネージャーからは、どんな指示をしても部下の心を真に動かすことはできないものです。


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