書籍レビュー『ブランディングが9割』
『ブランディングを体系的に学べる一冊』
「ブランディング」という言葉はどうしても漠然としていて、ややもすると格好いいクリエイティブを作ることと勘違いされやすい。
また、効果の測定方法も難しく、ブランディングが成功したか否かは事業が上手く行ったか否かという結果を踏まえて、後付的に「あの会社のブランディングは素晴らしい」と評価が付いてくるように感じる。
そうした印象から、ブランディングの実務はセンスの良いクリエイターしかできないように受け取られがちだが、実際にやるべきことはマーケティング戦略の立案と変わらず、基本に則って着実に行うべき部分が多い。
本書はこうした、ブランディング実務を体系的にまとめた書籍である。
自社、顧客、競合という3C分析の観点に始まり、ターゲティング・ペルソナ、セグメンテーション、ポジショニングというマーケティング戦略の基本フレームワークであるSTPを丁寧に解説している。
当社はブランディングができていない、と嘆く企業に限って、格好いいクリエイティブ作成ばかりに力を入れ、結果的にブランドイメージがぶれてしまうようなケースがあるが、それは、こうした戦略立案と戦略の社内浸透が図れていないことが大きな要因だと考える。
こうした戦略立案がきちんとできてこそ、本書の6章、7章にあるようなロゴやクリエイティブのガイドライン作成、そして各タッチポイントでの訴求の統一化が図れるものである。社内で共有できる指針がない中で複数のマーケター、デザイナーが自分なりの解釈でコミュニケーションメッセージやクリエイティブを作っていてはブランドイメージの醸成はできない。
基本でありながら多くの企業でできていない、ブランド戦略立案の重要さを改めて再認識させられた書籍であった。