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図書館に行ってきた 32

マジカルグランマ 柚木麻子
想像していた物語とは全く逆の、まさにマジカルグランマだった。思うままに話し、行動し、生きていく彼女を台風の目にして、周りがどんどん巻き込まれていく。しっかり自分を持っている明美はしぶとく楽しく、不安定な孝宏はよりグラつき、自信を持てなかった杏奈は急かされながら才能を開花させていく。
歳を重ねて感じる言葉にならない気持ちを、はちゃめちゃな正子と共有できることに驚きつつ、ステレオタイプにならないように私も戦っていきたい。

おばちゃんたちのいるところ 松田青子
落語などから発想を飛ばして作られる短編集。なので尻切れトンボな感じが否めない。なのにしっかり世界観があって、不思議な内容で面白かった。
ラストに近づくにつれて全体像が見えてくるけれど、設定がファンタジーで、なのにシュールで、結構好きかも。

自由研究には向かない殺人 ホリー・ジャクソン
高校生の女の子が、犯人とされる少年の弟と一緒に真犯人を探す。それを自由研究として提出するためにいろんな人に話を聞いていく。だんだんエスカレートしていく様子にハラハラした。レポート用の日記が事件をまとめてくれるので読みやすい。ラストの発表が推理の説明などではなかったのが良かった。

優等生は探偵に向かない ホリー・ジャクソン
前作に続く内容から始まる。また新しい事件も関連してくる。主人公のピップは悲しみにのまれるタイプではなく怒りに奮い立つタイプ。高校生ならではの無謀さが引き起こす事態を、それらがもたらす心理状態をしっかり描いていて良かった。勇気や正義、事件解決めでたしめでたしという感じでは全然なかった。

店長がバカすぎて 早見和真
この本は書店員谷原京子の視点から描かれている。彼女の目から見た日常は怒りと絶望に満ちたものだけど、他人から見た彼女はキラキラして見えてるのかもしれないよ、と谷原へもしくは読者へ伝えている。名前のアナグラムもそれを言いたかったのかな。
店長の可愛さは最後までわからなかったけど。

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