夫のためにダラダラ過ごす
夫が心療内科で適応障害と診断されてから仕事を休んでひと月経つ。
土日だけだった庭仕事を毎日黙々とやっている。
「手を動かしていないと余計なことを考えてしまう。
体が疲れていないと夜眠れなくて辛い。」
そう言いながら楽しそうに庭木を剪定したり、ケルヒャーで駐車場を洗ったり。電動工具を揃えてはウッドデッキの木を切ったり、ベンチを作ったり。
たまに悪夢を見て1日中ため息をついたり、眠れなくてひどい顔をしてたりすることはあった。
もう会社辞めれば?と思っているけど言わずにいる。
自分で納得しないと実行できない人だから。
夫は義理人情、正義の人で、理不尽な扱いや思いやりのない行動は許せない。
自分に厳しく人にも厳しい。
自分の甘さを許さないから人も許せない。
自分の言い分が正しいと思っているからこそ身動きが取れずにいる。
流す、許す、気にしない、どれもできないでいる。
怒りの対象が上司だから、関わればすぐスイッチが入ってしまう。私に話すだけでもヒートアップして喧嘩腰になるくらいだから。
医者から休めと言われてるけど、思い出しては何度も何度も罵倒を繰り返してたら休める訳はない。
夫は忘れる努力、休む努力をしている。
忘れると休むは努力とは真逆にある気がする。
本当はしっかり自分と向き合って客観的に物事を見るのがいいんだろうけど、たぶんまだその段階ではない。
会社に長期休暇を申し出たことを奇跡だと思う。
こんな夫と毎日一緒にいても何とも思わない自分が少し申し訳ない気もする。
「1月には復帰するとか思ってた?」
「え?考えてなかった。(もう会社辞めたくらいに思って過ごしてた)」
庭仕事をしている夫はご機嫌で、空をきれいだと言ったり鳥の鳴き声を聞いたりしていたから。
2人で夫が作ったベンチに座ってコーヒーを飲みながら庭の構想を話していたから。
今、うちは外壁と屋根の工事をしてもらっている。
足場を組んで、外壁を洗って、大きな音が絶え間なく響く数日を送っている。
この間は夫は庭に出ることもできずにいる。
「働いている人を見ると焦る。
昼間から家にいるとどう思われるか不安だ。」
それでも日がな一日ダラダラしてる私を見て少し落ち着いたのか、YouTubeで剪定動画を見たり、家の中の修理をしたりして過ごしている。
夫は効率よく迷惑をかけず、誰かのために生きていきたい人なので、何も決まっていない今が一番辛いのかもしれない。
納得した行き先があればどんどん進んでいくのに、ただ待つだけという状況だから。
12月中は大掃除をするという。料理も手伝ってくれる。工事の対応もしてくれる。私としてはありがたいことしかない。
早く囚われている全てから解放されて自由に楽しく暮らす決断をすればいいのに。
「でもこれからのためにお金がないと。」
「大丈夫だって!なんとかなるから。」
今は私の「大丈夫」に1ミリの信頼もなくなっている。
「虹が出るよ」
「混んでるけど近いとこに駐車できるよ」
「散歩に行く時間には風は止むよ」
「日曜日のお昼だけど待つことなくグラクロ食べれるよ」
小さな「大丈夫」をいっぱい見せてるんだけどなぁ。