
『字通』で解く中国語 叶・协
「叶子yèzi」という単語があり、何のことかといえば「葉っぱ」のことで、日本語では「叶う」と使う字は中国語では「葉」の簡体字であるらしい。中国情勢複雑怪奇。
『字通』によれば葉は艸+枼で、枼はさらに世+木。枼はもともと世の繁文で、世は木に三本の枝が生ずる形である。『説文解字』には廿のように十を三つ並べ、三十年一世代なので「世」とする説を載せているが、『字通』では篆文・金文の字形から枝が生じる形としている。枝の上に生じる艸なので葉となる。
日本語の「叶」は音読みはキョウで、「協」の古文。「協」は力(耜の象形)を三つ並べ、協力する様子を表したもの。協の簡体字は协xiéだが、「協力する」という中国語は合作hézuòのほうがおそらく一般的である。「国共合作」という用語もあるくらいだし。协作xiézuòは共同とか提携の意味。日本語で「夢が叶う」というときの叶は中国語では实现shíxiànという。
中国語の慣用句に叶公好龙Yè Gōng hào lóng(葉公龍を好む)というものがある。楚の貴族の葉公は龍を好んで絵に描かせていたが、実際に龍がやってくると驚いて逃げ出してしまったことから、うわべだけで物事を好むことをこのように言う。私も言葉を調べることは好きなのに人との会話となると逃げ出してしまうので、叶公好龙である。