酒類と発酵に関する法律 -発酵の基本知識-(52)
発酵食品とアルコール発酵は密接な関係にありますが、アルコールの製造および販売に関しては、「酒税法」により定められています。
発酵食品を自宅で作ったりした場合には、法律に抵触することがないように、正しく理解しておく必要があります。
酒とは
酒税法によると、
と規定されています。酒と分類されるものには、全て酒税が課され、酒の種類によって税率は異なります。
製造法による分類
酒類は製造法によって4種類に分類されています。
発泡性酒
ビール、発泡酒およびアルコール分が10度未満の飲料を指します。
醸造酒
清酒や果実酒など糖類を酵母の力によってアルコール発酵させたものを指します。
蒸留酒
ウイスキーやブランデー、焼酎や泡盛、ウォッカなど、醸造酒を蒸留させたものを指します。
混成酒
別名リキュールともいい、蒸留酒に糖質や香料などを添加したものを指します。
本みりんも混成酒にあたります。
みなし製造
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sake/2-18.htm
酒と分類されるものに水以外のものを混ぜた場合に、混ぜた後も酒類である場合は、新たに酒を造ったものとみなされます。
ただし、
酒類を扱う飲食店でのバーテンダーなどによる客への提供目的のもの
消費者が自ら消費するために、以下のもの以外のものを混ぜ、製造した場合 (米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷん、こうじ、ぶどう類、
アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類の酒粕)
1)~3)以外に該当する場合は例外となるため、自己消費の目的で製造された梅酒などはこれら例外に該当し、認められます。
ただし、漬け込むアルコール度数は20度以上にする必要があるなどの条件がもうけられています。
従ってリカーなどの高アルコール度数のもの以外の日本酒や焼酎、みりんなどを用いることは違法となります。
量販店などで販売されている、自宅でビールが製造できるキットなどは、アルコール分が1度を超えないための製造を目的としているために許可されており、1度を超えるものは違法扱いとなります。
また、どぶろくなどを製造するのも違法にあたります。
酒類を製造する場合は、一定量の製造が可能であること、酒類の品目ごとと、製造場ごとに製造免許を取得する必要があり、また販売する場合においても同様であり、販売場所ごとの販売免許の取得が必要となります。
個人が酒の製造免許を取得するのは困難であり、事実上不可能であるといってよいでしょう。業者以外で認められるのは農業学校などの、学問目的で製造する場合であり、試験製造目的であるためとされています。