関節の音は、気泡の音。では、その気泡の原因は?
関節を曲げる時に、ポキンと音がする。この音の正体は、関節内に発生した気泡が消えるときの音と、数年前に解明されました。たしかに動画レントゲンで見ていると、気泡ができて消えるのが観察されます。
ただ、気泡が原因というだけでは、説明が不十分です。
・気泡ができる原因は何?
気泡は、液体の中で急激な圧力の変化が起きた時に発生します。
音の原因が気泡だとするなら、なぜ気泡ができるほど急激に圧力が変化するのかを説明しなければなりません。
私は、気泡発生の原因は2つあると考えています。
一つは、腱・靭帯が擦れること。
もう一つは、組織の癒着が外れることです。
・腱や靭帯が擦れる音
正常な関節では音がしません。靭帯や、腱(筋肉と骨をつなぐスジ)は、正しい場所を通っている限り、音がしないのです。
音がするのは、引っかかる場所ができた時。
たとえば、膝関節などでは関節内の組織が突き出して引っかかる棚障害という症状が知られています。指を曲げると途中で止まる、ばね指などもそうですね。
その他、関節に歪みがあって靭帯などがズレた位置を通るようになると、動かしている途中で跳ねるように移動して、音がすることもあります。
・関節の貼り付きが取れる音
関節の組織に貼り付きができると、とれるときに音がします。
関節内の液や、血液の中には、コラーゲンなどの繊維タンパク質が含まれています。このタンパク質が動きの少ないところなどに沈着して、貼り付きをつくることがあります。
貼り付きが起きた関節を動かすと、それが剥がれますが、この動きは一瞬で起きるので、関節に気泡ができパシッと音がすると考えられます。
指を曲げてポキっとなったり、首を動かした時に音がするなどは、その例。この場合、音とともに関節の可動域が広がります。
八起堂の関節リリースは関節癒着をとる治療なので、施術中はしょっちゅうこの音がします。
・音を鳴らすと危険?
「関節を鳴らすのは危険」と言われることがありますね。
先ほどの例に挙げたばね指のような場合は、擦れることで炎症が起きる可能性があるので、鳴らさないほうがいいでしょう。
しかし、音がしたあとで可動域が広がる、伸びる感じがする時は、関節の一部に軽い貼り付きが起きているので、動かしたほうがいいです。無理なくゆっくりと動かしている限り、危険もありません。
関節を動かさないでいると沈着が強くなり、動く範囲が狭くなってしまいますので、時々動かしてやるほうが関節を守ることができます。
見分け方ですが、一回音がしたあと、同じ動作でしばらく音が出ない場合は、張り付きによるものです。貼り付くまでにはある程度の時間が必要なので、すぐには音がしないのです。
・危険なのは無理に鳴らそうとすること
実は「関節を鳴らすこと」ではなく、「関節を無理に鳴らそうとすること」が危険なのです。
関節が鳴って筋が伸びると気持ちいいので、つい関節が鳴るまで力を込めてしまうことがあるんですよね。
そうして強い力をかけたり、早く動かしたりすると、組織を痛めることがあります。
関節を鳴らす時は、力をかけず、ゆっくりと。また、鳴らない時は、今は鳴らないときだと考えて、それ以上の無理をしないようにしてください。
八起堂治療院ホームページ https://www.hakkidou.jp/
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