揖保乃糸(そうめん)と日本刀と木綿糸の共通点は?
はい、表題のとおりです。
そうめんと刀と、糸。無関係そうに見える3つには、共通点があります。何でしょうか?
…
…
…はい、時間切れ(ウソ)
答えは作り方。
「揃えて強度を上げてある」です。
そうめんならグルテンの網目、刀なら金属の結晶、木綿糸なら繊維。
どれも、形を作っている基本構造があります。この構造の方向が揃えば揃うほど、製品の強度が上がります。
製造法を見ていると、どれも方向を揃えるという一点のために、いろいろと工夫を重ねていました。
食べ物と金属製品と衣類という、まるで共通点のなさそうなものが、作るときには全く同じ配慮がされているのに気がついて、感動したので書きたくなりました。
・揖保乃糸の作り方
うどんや蕎麦は、平たく延ばした生地を包丁で切って細長くしますね。
そうめんは生地を延ばして作ります。最初はペットボトルほどの太さのある生地が、何度もローラーにかけられ引き伸ばされて、そうめんの細さに。延ばすことで内部の構造がタテに揃い、切れにくい弾力が生まれます。
以上は、普通のそうめんの場合。
先日テレビで見たのですが、揖保乃糸は、ある程度延ばした生地を束ねて延ばし、また束ねて延ばすことを繰り返すそうです。最終的には24本の生地を束ねてそうめんの細さにまで仕上げるので、普通のそうめん以上にグルテン網が揃い、強い弾力が出るのだといいます。
・日本刀の作り方
これは有名ですね。延ばした鉄を折り返してまた延ばし、折り返しては延ばす。この繰り返しで結晶の方向が揃い、折れにくい日本刀ができます。折返しによってできる構造は、数万層にもなっているそうです。
大昔は、鉄の塊を叩き延ばして刀の形になれば良しとしていたのだと思います。そこから強さを求める内に、今のように折って重ねて構造を揃える製法にたどり着いたのでしょう。
・木綿糸の作り方
木綿糸は、綿の繊維を引き伸ばして、縒りをかけたもの。昔は人間の手で綿を引き伸ばし、紡錘(紡ぎゴマ)や、紡ぎ車で縒りをかけて糸を作っていました。
もちろんこれでも糸になるのですが、不揃いな繊維の束からいきなり糸にすると、太さは不揃いで強度もばらつきがあります。
最近の糸の作り方を見たのは、名古屋の「トヨタ産業技術記念館」。
織機から自動車までトヨタの歴史を見られる博物館で、繊維機械館は、その前半分に当たります。
綿の塊がほぐされ引き伸ばされてゆき、それをまた束ねて引き伸ばし(ほんとに揖保乃糸と同じ形式!)、キレイに繊維が揃ったものをさらに引き伸ばしながら縒りをかけてゆきます。
きっちり揃った繊維によって、昔とは比べ物にならないほど細く丈夫な糸が完成します。
公式動画があるので、添付しました。
トヨタ産業技術記念館。めちゃめちゃ面白いです。
・きっと他にもある
素材は同じだが、揃えると強力になる。構造の差にはスゴイ効果があります。
えてして、こうした構造は完成品からは見えないもの。
本当は、もっといろいろなところに工夫があるんでしょうね。
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