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ストレス耐性

ストレス耐性は、個人特性の一つ。読んで字のごとくストレスに対する耐性の強さを示すディメンション。圧迫を受けても、葛藤状況に置かれても、言動を乱さずに安定した行動をとることができる能力のこと。

このディメンションのプラスのキーワードは、平静、冷静、安定感、リラックス、自然体、平常心、感情の起伏が少ない、などである。一方、マイナスのキーワードは、緊張、不安、性急感、動揺、焦り、困惑、浮足立つ、感情の高ぶり、などだ。

ストレス耐性が強い人

ストレス耐性が強い人には様々なタイプが存在するが、例えば、常にクールで、人にも問題にものめりこまずに一定の距離をとる人などが挙げられる。また、細かいことは気にしないおおらかな人、別の言い方をすると、あまり良い言い方ではないが鈍感な人などもストレス耐性が強い人と言える。

鈍感という言葉はあまりポジティブに受け止められないかもしれないが、鈍感力という言葉もある通り、一つの能力と捉えてよいだろう。私たちはとにかく色んなことを気にしがちである。こういうことを言うとどう思われるだろうか、などと考えてしまうことはないだろうか。

こんな振る舞いをすると嫌われるのではないか、和を乱さないように行動しなければ、こういった考えにとらわれてしまえばパフォーマンスは落ちてしまうだろう。逆に気にしなければ速やかに一歩を踏み出すことができる。物事にさほど頓着しないということは大きな強みであるのだ。

評価のギャップ

このディメンションは、アセッサーとアセッシーで逆の評価になることが多い。つまり、アセッサーがストレス耐性は強みであると思ったとしても、本人はストレスに弱いと思っていることが多いということだ。フィードバックをする際に、こういったギャップがある状況に陥りがちなのである。

なぜこういったことが起こるのか。一番の理由は、ストレス耐性のディメンションを正確に理解していないということだろう。ストレス耐性が強みということは、決してストレスを感じないということではない。ストレスを受けてもパフォーマンスが乱れず、普段通りの行動がとれる、というような意味である。

例えば、プレゼンテーションで、必要以上に大声を出し、ものすごい早口でスピーチをする人がいるが、こういった行動はイニシアティブやバイタリティのプラスというよりは、ストレス耐性のマイナスととることが多い。面接で、周りが見えなくなって、矢継ぎ早に説得の言葉を繰り出してくる行動も同様だ。

演習における具体的な行動

演習における具体的な行動を考えてみよう。

グループ討議

グループ討議では、むやみやたらと熱くならずに冷静に場の推移を眺める行動や、議論が錯綜しても落ち着きを保ちながら適切な態度や言動をとれる、といった行動はストレス耐性のプラスである。

場への関わりという点でいうと、集中するあまりのめり込んで発言をする人はバイタリティがプラスである可能性が高い。一方、一定の距離を保って関わる人はストレス耐性がプラスである可能性が高い。もちろん、どちらが良いなどという話ではなく、あくまで傾向ということだ。

面接

面接では、相手の反論や葛藤状況にも感情を波立たせることなく、終始落ち着いた自分のペースを保つ行動はストレス耐性のプラスである。挙動不審な態度に陥らず、安定した言動を示すといった行動もストレス耐性のプラスだ。

一方、熱くならなければ良いのかというと、もちろんそうではない。静かに構えてその場をやり過ごしてしまうのはバイタリティのマイナス行動ととられてしまうかもしれないし、コントロールも効いていないととられかねない。

面接では、相手役は、態度が頑なだったり、頑強に抗弁したり、聞き分けがなかったり、やる気がなさそうだったりと、とにかくアセッシーがストレスを感じる状況をあえてつくろうとしていると理解しよう。それは、ストレスを感じたときに、アセッシーがどのような行動をするのかを見るためだ。

あくまで面接とはそういう設定をとっている、ということを忘れてはならない。自分の予想通りに話が進まなくても動揺してはいけない。私たちは、突然の土砂降りには慌ててしまうかもしれない。しかし、雨が降ることがあらかじめわかっていれば、しっかりと対策を練ることができるはずである。

インバスケット

インバスケットでも基本的には同じで、冷静さや安定感のある対応がストレス耐性のプラスである。一方、例えば、文意の取り違いや勘違いなどがあった場合、その理由が情報把握力のマイナスなのか、それともパニックになったからなのか、というのはそれだけでは分かりにくい。

全ての行動について言えることだが、こういった行動は、他の演習での行動と併せて判断をするということになるだろう。もちろん、インバスケット以外の演習がある場合は、これだけでストレス耐性の強弱を見極めるということはしないだろう。きっと対人面における行動もしっかりとみているはずだ。

注意点

ストレス耐性がプラスの人はどんなことに気をつければよいだろうか。
冷静な人はその反面、熱が伝わりにくいので、影響力や説得力が弱くなるかもしれない。論理だけでは人は動かないからだ。頭は冷たいまま、心は熱く、を心掛けてほしい。

また、細かいことを気にしないおおらかな人や、言い方は悪いが感情に鈍感な人・頓着しない人は、他者のことをさほど気にかけない傾向がある。そういった行動は感受性のマイナスとみなされることが多いので気をつけてほしい。

ストレス耐性を高めるには

最後にどうやってストレス耐性を高めていくかを考えてみよう。
ストレスは誰にでもかかることを理解し、事前の段取りをしっかりと整える、ということが一つの解決策になるだろう。突発的なトラブルには慌てふためくかもしれないが、事前に想定さえしていれば対応することはそこまで難しくない。

常に落ち着いている、と評されている人であっても、それはストレス耐性が高いからではなく、事前の先読みと段取りをしっかりしているだけかもしれない。目の前に集中しがちな人は、事前の想定を心掛けてみてほしい。

また、ストレスがかかったときに、逃げたり、攻撃的になったりしていないだろうか。こういった負の感情に振り回されないためには、その感情が自分の中に発生するメカニズムを理解することが大切だ。それを単に排除するのではなく、どうすればそういった感情と同居できるのかを少しずつ探ってほしい。

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