「合間」
そこにある、いつもの田圃を眺めると、
昨日と何かが違って見えた。
秋の風が忙しく頬を撫でる。
二度目の稲穂は背を高くし、揺れていた。
世界が変わる儀式のように。
出るものは大胆に、隠れるものは急ぎ足。
私はいつも遅れてしまう。まあいつものこと。
気づいたら冬でもかまわない。
秋は合間でしかないから。
何故?なぜ私は秋に何も想わないのだろう。
もしくは想わなくなったのだろう。
少し寒くなってきた?あれ、まだ暑くない?
どっちつかずの裏切り者。
心の準備が追いつかない。
マスクで顔が半分隠れるように、
曖昧になって分からなくなる。
夏の名残と冬の下準備、
感情の整理が追いつかない。
もう少しゆっくり、もう少し長くあればいいのに。
私は秋を愛してる?
曖昧な合間が私には必要だとしたら、
尚更秋を好きになるのは良くない気がした。