ブックガイド(171)「お梅は呪いたい」(藤崎翔)

古民家の解体中に発見された謎の日本人形。それはかつて戦国大名を滅亡させた呪いの人形お梅だった! 興味本位の底辺ユーチューバーに引き取られたお梅は、早速彼を呪い殺そうとするが、500年のブランクは長すぎた!? 呪いが効かないどころか、お梅の心霊動画がバズってしまい……果たしてお梅は無事に現代人を呪い殺せるのか。笑いと涙のオカルトハートフルコメディ! というのがアマゾンでの紹介。
もう、これ以上でも以下でもない。大爆笑の快作だ。
同じキャラが同じ状況を繰り返すお笑い用語でいうところの「天丼」など、随所に「お笑いのテク」が光る。
だが、何よりも秀逸なのは「お梅」というキャラ造形。彼女がテレビで「チャイルドプレイ」のチャッキーを観たり、猫が苦手だったり。すっかり、この呪いの人形のファンになった。
(追記)
この作品の様に、本来の狙いが次々と破綻して失敗するけど、最終的にはハートウォーミングな落ちがつくというのはユーモア譚の一つのパターンである。脳裏に浮かぶのはヘンリー・スレッサーの「怪盗ルビイ・マーチンスン (1978年)。主人公・僕の従兄ルビイはルパンのような怪盗を目指して計画を立てるのだが、毎回その計画に巻き込まれる僕のせいでいつも犯罪にならない話。

(さらに追記)
可愛い呪いの人形で脳裏に浮かぶのが、このUSJのホラーナイト。


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