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私が教師をやめるまで#13
【第13話】信頼の獲得:生徒たちと信頼関係を築く #1
当初に少し話を戻そう。
私が担当するクラスは問題児が多いと噂されていた。
初日の自己紹介では、生徒たちは無関心な様子で私の話を聞かなかった。授業中も騒がしくて、私の声はかき消されてしまった。
「どうしたらいいのだろう…」
私は悩んだ。生徒との信頼関係を築くにはどうすればいいのか、分からなかった。
ある日、私は放課後に教室に残って授業準備をしていた。すると、一人の男子生徒が入ってきた。
「先生、ちょっと話があるんですけど」
男子生徒はB君という名前で、クラスではリーダー的存在だった。しかし、成績は悪くて、よく授業をサボっていた。
「何でしょう?」
私は不安になった。B君から何か言われるのではないかと思った。
「実はさ…」
B君は言葉に詰まった。そして、突然泣き出した。
「修学旅行っていかなてもいいですか?」
B君は家庭の事情で苦しんでいた。
父親・母親とは実際に住んでおらず、家出状態で親族の家に住んでいる状態だった。
B君は、修学旅行の費用を出してほしいとはさすがに言えず、バイトをしてどうにか収入を得てお金を工面しようとしていた。
「こんなこと誰にも言えないので…」
B君は苦しそうに訴えた。
私は驚いた。B君がこんなに辛い思いをしているとは知らなかった。そして、自分に話してくれることに感謝した。
「大丈夫です。どうにかしましょう。」
私は優しく声をかけた。
その日から、私とB君の関係は変わった。
B君は授業に積極的に参加するようになり、他の生徒もそれに影響されて少しずつ態度を改め始めた。
私も自信を持つようになり、クラス全体の雰囲気が明るくなってきた。