呼びかけて、抱きしめる(日記114)
いま、自宅に戻る電車の中。
1泊2日の帰省が無事に終わった。
駅に迎えにきてくれた、お父さんとお母さん。
駅まで送ってくれた、お父さんとお母さん。
迎えにきてくれたときは、ニコニコと、うれしそうで。
送ってくれたときは、どことなく、さみしそうで。
わたしが見えなくなるまで、手を振ってくれていた。
わたしも、何度も振り返って、手を振った。
バイバイ、またね。
元気でね。
わたしも元気にがんばるね。
また会いに来るね。
そんな気持ちで、手を振った。
昨日は、8月に生まれた甥っ子くんと、初対面をした。
ずっと写真や動画は見ていたけれど、実物に会うのははじめてで、どきどきしながら、待っていた。
車が到着する音がして、弟とお嫁さん、甥っ子くんがおうちに入ってくる。
わたしも、おばあちゃんであるお母さんも、おじいちゃんであるお父さんも、もう3人でメロメロになりながら、出迎えた。
お父さんとお母さん、まだ、「じいじ」「ばあば」が板についていない。
どことなく初々しい「じいじ」と「ばあば」。
そうか、おじいちゃんとおばあちゃんだって、段々と少しずつなっていくものなんだな、ということを知る。
はじめて甥っ子くんと対面すると、じっ、とこちらを見つめてくれた。
なんとなく泣きそうで、でも泣かなくて、じっ、と大きな瞳でこちらを見つめてくれた。
たくさん名前を呼んで、たくさん抱きしめさせてもらった。
抱っこしたら、あまい、赤ちゃんの匂いがした。
ミルクのよい匂い。
わたしの人差し指を、ぎゅっとぎゅっと握ってくれた。
ああ、生まれてきてくれてありがとう、と思った。
あなたに会えて、とってもとってもうれしいよ、と、心の中で何度も呟いた。
写真もたくさん撮って、たくさん触れ合わせてもらって、ほんとうに尊い時間だった。
最後は眠くて大泣きしていたけれど、それもふくめて「まあたらしい命!」という感じがして、何もかも最高だった。
生まれてきてくれて、ありがとう。
あなたに会えて、ほんとうにうれしい。
あなたが何をやっても何をやらなくても、そのまんまで最高だよ、ということを、耳元でささやいた。
あなたは最高。
そのままで、最高。
みんなあなたを、あいしているよ。
だから安心して、大きくなってね。
そういうことを、抱きしめて、伝えた。
弟一家が帰ったあと。
実家の猫さまは拗ねていた。
いつも自分にデレデレのお母さんが、急に現れたちいさな生き物にデレデレになって、自分には見向きもしなくて、「ばあばだよ〜、ほら〜、抱っこしようね〜」とか、甘えた声を出していたのが、納得いかなかったみたい。
しばらくお母さんにまとわりつきながら、にゃんにゃん、にゃんにゃん、何事かをしゃべっていた。
いつもわたしが1番のくせに!
あの新入りはだれですかおかあさん!
そんな風に言っているみたいだった。
お父さんにもお母さんにも、甥っ子にも猫さまにも会えて、大満足な帰省だった。
さあ、おうちに帰ろう。
わたしの家族が待っているおうちに、帰ろう。