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向山こども園におけるセキュリティ強化への取り組み
園舎の建て替え工事が進む中で、安全性を確保するためのセキュリティ対策が大きな課題となっています。
特に広い敷地と複数の出入口を持つ向山こども園では、外部からの侵入リスクを防ぐための新しい取り組みが必要だと思っています。
今回は、向山こども園の特性を踏まえたセキュリティ強化について考えてみたいと思います。
広い敷地のメリットと防犯面での課題
向山こども園は、広大な園庭と敷地を有しており、これは子どもたちが豊かな体験をするための大きな魅力です。
私は、以前横浜の園に勤めていました。
横浜で園庭があるのはとても恵まれた環境ではありましたが、とはいえ、広大な敷地というわけではなく、それなりの制約を受けながら保育をしていました。
他学年との交わりが意図せずとも起きる良さはあるのですが、思い切り遊ぶことができない場面もあり、工夫が求められたのを覚えています。
まだまだ未熟だった私は、配慮が行き届かず、子どもが衝突してしまうという事故も起きてしまったこともありました。
向山に赴任した時、その広大さに改めて感心したと同時に、どう活かすかを模索する日々が始まりました。
現在、園庭を柔軟に使いながら、様々な活動をしていますが、この地で生活していても、広い空間で様々な選択肢があるということは、本当に恵まれた環境だと思いますし、この環境を生かさなければ、他園の方々に笑われてしまうなと思う毎日です。
幼児教育関係者なら、誰しもがうらやましくなるようなこのような環境ですが、この広さは防犯上の課題ともなり得ます。
現在、防犯対策は防犯カメラや保育者や保護者の目や互いの挨拶による監視と抑止に依存していますが、これだけでは十分とはいえません。
昨今の社会情勢を鑑みると、より高度なセキュリティが求められるのは明らかです。
認証システム導入の必要性と課題
このような時代背景から、現在、向山こども園では、出入口に認証システムを導入する計画が進められています。
候補として挙げられているのは、暗証番号、カードキー、そして顔認証です。この中でも顔認証システムは、カードキーの紛失や暗証番号の漏洩リスクを排除できる点で注目されています。
減殺最終候補に残っているこのシステムは、写真での仮登録と、2眼カメラによる本登録の二段階で関係者を管理でき、その精度は99.9%というのだから驚きです。
また、登録や削除が簡単であるため、地域ボランティアや小学生など多様な方々が園に来られることを想定した今後の園運営との相性もいいように感じています。
また、暗証番号のように定期的な変更や周知の手間がかからないという利点もあります。
しかし、顔認証システムにはコスト面の課題があります。
3カ所の出入口すべてに設置し、職員室と連携する仕組みを構築するには、初期費用が800万から1000万円ほどかかる見込みです。
また、夕方以降、職員室が無人になった場合でも遠隔操作ができる体制を整える必要があり、運用面でも慎重な計画が必要で、今日も、業者の方とメーカーの方とのミーティングは、2時間にわたり行われました。
AIを活用した防犯カメラの可能性
また、顔認証システムのほかに、防犯カメラの技術も進化しており、AIを活用したモデルの導入が検討されています。
このカメラは、防犯だけでなく保育現場での活用にも適している可能性があります。
子どもたちの怪我やトラブルの原因を検証し、安全管理を強化するだけでなく、園庭や保育室内の動きや密集度を把握することで、人員配置や保育の質向上にも役立てることが期待されています。
保育者を守るためのカメラ
虐待防止の観点から室内カメラを導入することで、監視機能を強化できるというメリットがあります。しかし、それだけでなく、保育者が不適切な保育の疑いを受けた際に、潔白を証明する重要な証拠としても活用できる点が大きな利点です。
私自身、こうした「潔白の証明」ができる環境を整えるために、少しずつでも室内カメラの導入を進めていきたいと考えています。
私は男性保育者ですが、保護者の方から「先生、男だけど大丈夫?」「男だからわからないんじゃないかと思うけどさ」といった言葉を、悪意なくいただいたことが何度もありました。
中には、アンケートで「男性なので性被害が怖い」と書かれたこともあります。
もちろん、男性だからといって全員が性加害者になるわけではありません。しかし、万が一そのような疑いを持たれた場合、潔白を証明するのは非常に困難です。いわゆる「悪魔の証明」のようなもので、ほぼ不可能に近いと言えます。
だからこそ、保育者自身を守るためにも、客観的な証拠として機能する手段を導入する必要があると強く思います。
近年のAIカメラには、顔認識機能や不自然な長時間の滞在を検知してアラートを出す機能などが搭載されています。
従来の撮影のみのカメラよりも高性能で、多くの場面で役立つと期待しています。このような技術の活用により、安全性を高めるだけでなく、保育者が安心して働ける環境づくりを進めたいと考えています。
AIカメラのデメリット
こうしたAIカメラは、記録装置の域を超え、保育の質向上と安全管理の両面で役立つツールといえます。
ただし、導入には初期費用や維持費がかかってしまいます。
それでも、子どもたちの命を守り、保育者が安心して仕事に集中できる環境を整えるためには、有効な選択肢といえるので、デモ機を使いながら様々な活用を模索していきたいと思っています。
安全な環境を目指して
向山こども園では、広大な敷地と特有の環境に適したセキュリティ体制を模索しています。
最終的な導入システムの決定はまだこれからですが、子どもたちの安全を最優先に考え、保護者や地域の協力を得ながら適切な方法を選定していきます。
これからも、子どもたちが安心して成長できる環境づくりに向けて努力を続けていきたいと思います。
最終的な内容がまとまり次第、また皆さまにお知らせいたします。