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保育者の遊び心はくすぐれるのか?

今日は、新園舎に子どもたちが入った記念すべき日。
保護者の方には、その様子をDocumentMovieでお届けする予定です!

さてそんな中、保育はいつも通り紡がれます。
今日はマネジメントチームの中で話し合われた「遊び心」についてお話。

子どもと遊ぶことが苦手な若手保育者がいる――そんな状況に対して、どのようにサポートできるのか?
保育者にとって、子どもが好きという感情だけではなく、「遊び心」を持つことが重要だと私は考えています。
しかし、遊び心は生まれつきのものではなく、経験や環境によって磨かれるものでもあります。
今回は、若手保育者が遊びの中に入り込むことが苦手なケースについて、どのようなサポートができるかを考えてみたいと思います。


遊びの二面性

保育者が子どもと遊ぶとき、「何を狙って遊ぶのか」という教育的視点を持つことは大切です。
しかし、意図ばかりを重視してしまうと、遊びの本質である「楽しい」という要素が失われ、子どもとの関わりがぎこちなくなってしまうことがあります。
何を隠そう、私は担任時代、この「意図地獄」に自分ばかりか後輩も巻き込んで勝手に陥ったことが何度もあります。

しかし、「遊びは無目的でいい」と割り切るのも、保育者としての役割を果たせないことにつながると私は考えています。
遊びには「子どもにとっては無目的だけど、大人にとっては教育的な目的がある」という二面性があるのです。
このバランスをうまく取ることが、保育者に求められる遊び心の一つの形といえるでしょう。

遊びに入れない若手保育者の課題とは?

若手保育者が「子どもと一緒に遊べない」「なんとなく子どもとの距離がある」と感じる瞬間、あるいはそんな時期があると思います。
これは、「やる気がない」「向いていない」ということではなく、分解してみると原因はいくつか考えられます。

例えば、子どもの遊びの世界観が分からなかったり、どのように関わればいいのかが分からなかったりする場合。
また、遊びに飛び込むこと自体に抵抗があったり、失敗することを恐れてしまったりするケースも少なくありません。
こうした課題を持つ保育者に対し、ただ「もっと遊びに入ろう」と声をかけるだけでは解決になりません。
そのため、マネジメントチームには、具体的なサポートを考えることが重要になります。

若手保育者自身が、まずやってみるといいこと

若手保育者が遊びに入れない状況を改善するためには、いくつかの具体的なアプローチが考えられます。

まず、大切なのは「遊びの世界観」を理解することです。
いきなり子どもの遊びに飛び込もうとしても、子どもの中にあるイメージや、その遊びの面白さ分からなければ戸惑い、的外れな発言をしてしまって遊びを壊したり、敬遠されたりしてしまいます。

私は、担任時代、特に女の子のままごとの面白さがまったくわからず、大の苦手でした。
「お帰り~ ご飯作るね」「いただきます!」「じゃ~夜だから寝ようね」という鬼のようなルーティン…。どうかかわればいいかわからず、お父さん役として参加し、すぐに仕事に行くといって逃げ出していたのを覚えています。
そんなどうしよもなかった私なので、その分、子どもの世界観に入るために様々な工夫をしてみました。
若手保育者が自分でやれることについて、紹介したいと思います。

まずは焦らず観察

子どもたちがどのように遊んでいるのかをじっくり観察することが有効です。遊んでいるときにじっくりというのも難しいのですが、ちょっとでいいので、見てみるのがおすすめ。
観察を通じて、遊びの流れや、どのような役割があるのかを把握できるようになれば、自然と遊びに入りやすくなります。
自分が楽しいと思うかはさておき、子どもたちが楽しいと思っているポイントを見つけられると、演じやすくなります。

場数を踏む

子どもたちが楽しんでいる遊びに参加することは結構難しいのですが、めげずに遊びの輪に入ってみることは大切なことです。
泥臭いのですが、場数がものをいうこともあります。

その際、「何をしているの?」「○○だよ」「へ~すごいね。… 」とどこか客観的になることがあると思いますが、これはNG 。
「すごいじゃん! どうなってるの?」「面白そう!ちょっと教えて!」と関心を示すことで、自然な形で関わりを持てるようになります。

子どものこだわりを意識する

また、子どもが工夫したところやこだわっていることころを見つけて、そのまま言語化するのも有効です。
お料理をこだわって作っていたら「なんかいい匂いしてきたな~ おなかすいた~!」とか、こだわって色を塗っていたら「いろんな色が入っていてにぎやかだね」とか…
どうしても苦手な遊びは「いいね」「すごいね」「上手だね」と客観的で評価的な声掛けになりがちです。
しかし、それではどうしても子どもとの間に距離が出てしまします。
子どもがこだわったり、工夫していることを見つけることが、子どもたちの世界に寄り添う第一歩になります。

マネジメントチームができるサポート

とはいえ、保育の中で行えるように、上記のアドバイスをしても、自分ではどうしたらいいのかわからない保育者も結構います。
そこで、このセクションでは、もう一歩踏み込んだサポートについて書いてみたいと思います。

ロールプレイをしてみる

遊び方が分からない場合には、ロールプレイを取り入れることが効果的です。
例えば、保育者同士で一人が保育者役、もう一人が子ども役を演じてみることで、どのように声をかければよいのか、どんなタイミングで遊びに加わればよいのかを具体的に体験することができます。
これは、ちょっと恥ずかしもあると思ますが、悩んでいる保育者にロールプレイを見てもらうのもありだと思います。
また、「では今からロールプレイをしましょう」というより、話の流れで、「たとえばさ、こどもが○○っていうときあるじゃん。そん時□□先生ならどういう?」というように、さりげなく入れるのがおすすめ。
実際の現場に入る前にシミュレーションをしておくことで、実際の子どもたちとの関わり方にも自信を持つことができるようになります。

百聞は一見に如かず

先輩保育者の遊び方を見て学ぶことも大きな助けになります。
困っている場面で、ベテラン保育者が「ちょっとやってみるから見ててね」と言って、若手に自分の姿を見せるのもありです。

ベテランの保育者がどのように子どもたちと遊んでいるのかを観察し、その中で「どのようなタイミングで声をかけているのか」「どんな言葉を選んでいるのか」を具体的に学ぶことで、遊びに入るためのヒントを得ることができます。
ただ見て学ぶだけでなく、「今の場面では、子どもの発言を拾って役になりきったんだよ」や「ここで一回体を動かして、遊びの流れを変えたんだよ」と保育後に解説を加えることで、学びを深めることができます。

心理的安全性の確保

また、遊びに入ることへの心理的な抵抗を減らすために、「失敗しても大丈夫」という安心感を持たせることも欠かせません。
遊びに飛び込んでみても、子どもたちから「違う!」と言われたり、うまく受け入れられないこともあるかもしれません。
しかし、それは決して珍しいことではなく、どんな保育者にも起こりうることです。
大切なのは、一度の失敗で諦めずに、何度も試してみることです。先輩保育者が「最初はうまくいかなくても、少しずつ慣れていけば大丈夫」と伝えたり、実際に過去にうまくいかなかった経験を話したりすることで、若手保育者の不安を和らげることができると思ます。

ちなみに、私はよく「打率3割を出せれば上出来」と伝えています。
プロ野球選手でも3割バッターは強打者です。
「出した遊びやかかわった遊びのほとんどがうまくいくと思う方が、ちょっとずれている」くらいに思えると、結構楽だと思います。

こうしたアプローチを通じて、若手保育者は少しずつ遊びに入ることへの抵抗をなくし、遊ぶことの楽しさを実感できるようになっていきます。
遊びの中に積極的に関わることができるようになれば、子どもたちとの関係も深まり、保育そのものがより充実したものになるはずです。

保育者の「遊び心」は育てられる

遊び心は、生まれつきのものだけではなく、経験や環境によって磨かれるもので、かつ、保育者の専門性の一つだと私は思っています。
そのために、若手保育者が遊びに入りやすくなるためには、具体的なサポートが不可欠です。
遊びを観察することから始め、ロールプレイや先輩の実践を通して学び、少しずつ自信をつけていくことで、遊びの楽しさを実感できるようになるはずです。

「遊ぶのが苦手」と感じている保育者も、適切なサポートがあれば、きっと子どもと一緒に遊ぶ楽しさを見つけることができます。
保育者自身が楽しむことができれば、子どもたちにとっても、より豊かな遊びの時間が生まれると思います。
サポート、一緒に頑張りましょう!

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