見出し画像

2歳児の世界って結構厳しい

今日は、2歳児をバスに乗せてドライブに行った際の出来事を振り返りながら、この時期特有のルール意識や子ども同士のやり取りについて書いてみたいと思います。

人に厳しい2歳児

バスの中では、いつもの風景がとても楽しく見えたようで、行き交う郵便車やトラックを見て大興奮したり、消防署を見ようと、前のめりになりながら興奮する子どもたちのかわいい姿がありました。

興奮が抑えられない子どもたちでしたが、保育者が「おしりぺったんで座れると安全だからね」「そろそろ出発するから前を見ようね」とその都度丁寧に声をかけながらドライブを楽しんでいました。

乗車している子どもたちはみんな、同じように目いっぱい楽しんでいたのですが、他の子がちょっとでもおしりを浮かせると「前を向いて座らなきゃだめ!」「そうだよ!おしりぺったんだからね~~」と厳しく注意する子がいる場面もありました。

そんなに強く言わなくてもいいのになと思いつつ、2歳児や3歳児ではよく見られる場面だなと思いました。

2歳児は、自立心が芽生え始める一方で、大人が教えたルールを一生懸命守ろうとする姿が見られる時期です。この時期、子どもたちは自分がルールを守れているかどうかはさておき、他の子がそのルールを守っていないと感じると、強く指摘することがあります。

大人が「危なくないように前を向こうね」と穏やかに伝えている中でも、子ども同士では声を荒げることもしばしばありました。
こうした場面は、発達のことをあまり知らない大人が見ると違和感を覚えることもあり、特に我が子が強く言う側になると驚かれたりやめさせようとする方もいると思いますが、2歳児にとっては自然な行動です。

模倣と発達のアンバランスさ

2歳児は、周囲の大人の言動を観察し、それを模倣することで急速に世界を広げ、学んでいきます。
たとえば、大人が日常的に使う言葉や態度をそのまま真似て、友だちに対して接する姿が見られることもあります。
ご自宅でも、兄弟やお父さんに注意をするときに、お母さんと同じような口調でいうことがあると思います。

一方で、彼らの行動には発達のアンバランスさも目立ちます。
それは、ルールを守ることの大切さについては意識し始めていますが、その背景にある意味までは理解していないことが多いからなのです。
「前を向いて座ることが安全だから」という理由には至らず、表面的な「前を向かなければならない」という部分だけを強調してルールを主張する傾向があります。
しかし自分のこととなると話は全く別。衝動性の高い時期なので、自分自身も興味を惹かれるものがあると後ろを向いたりたったり、歩き出してしまうといった衝動的に行動してしまう時期でもあります。

このような人に言うことと自分のやることが違うといった矛盾する行動は、2歳児が社会性やルールを学ぶ過程にあることを表しており、この時期特有の成長の姿といえます。

保育者の対応の重要性

保育者は、それぞれの育ちを理解しながら、意図しない喧嘩に発展しないよう、緩衝材として間を取り持つ重要な役割を果たします。
2歳児同士のやり取りの中では、厳しくルールを伝える子もいれば、その言葉に驚き戸惑う子もいるため、双方の気持ちを調整する対応が求められます。

バスに乗っていた保育者も、上手に、双方の気持ちに寄り添っていました。

ルールを強く伝えた子どもに対しては、その行動の意図を肯定的に受け止める関わりをしていました。「ルールを教えてあげたかったんだね、ありがとう」と共感を示し、その気持ちを認めることで、子どもの主体性を尊重してあげていたのです。

一方で、注意された子どもに対しても、「急に言われてびっくりしたね」「外の景色が見たかったんだね」と寄り添い、その感情をしっかりと受け止めてあげていました。

保育者は一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、ルールを守ることの大切さに共感しつつ、いろいろなものに好奇心をもって見たり聞いたりしようとする姿を受け止めていました。

双方が納得し安心できるような対応をすることで、ただルールを守らせるだけでなく、社会性を育む機会を生み出しているのです。
このような丁寧で柔軟な対応は、子どもたちの成長を支えるうえで欠かせない要素です。

2歳児の行動を温かく見守る

2歳児のこうした行動は、周囲の大人から学びながら、ルールを守ることの意義や他者との関わり方を少しずつ身につけていく過程にあります。

彼らが自分なりに考え、行動しようとする姿を自然な成長の一環として受け止めることが大切です。そして、保育者や保護者が温かく見守りながら支えていくことで、子どもたちは安心して社会性を育む経験を重ねていくことができると思います。

いいなと思ったら応援しよう!